25年大河『べらぼう』横浜流星が挑む「新たな文化系大河」渡辺謙、石坂浩二ら名優にも期待 歴史学者の視点

 2025年のNHK大河ドラマは「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」です。主役は江戸時代中・後期に活躍した出版業者・蔦屋重三郎。重三郎を演じるのは、『私たちはどうかしている』『春に散る』などのドラマ・映画で知られる俳優の横浜流星さん。昨年の大河は「光る君へ」であり、主人公は『源氏物語』を執筆した紫式部でした。昨年もそして新年も書物に関連する大河ドラマということで、2年連続「文化系大河」ということになります。

 「光る君へ」は平安時代中期が舞台で主人公は女性ということもあり、戦は描かれないであろうと言われていました。しかし、ドラマ終盤(46回)で「刀伊の入寇」が描かれました。ですが、「べらぼう」は天下泰平の江戸中期が舞台であり、今度こそ本当に合戦シーンはないでしょう。大河ドラマの醍醐味は合戦シーンにばかりあるのではありません。濃密で感動的な人間ドラマも醍醐味の1つと言えます。1995年に放送された大河「八代将軍吉宗」(主演・西田敏行)も江戸時代中期が舞台でしたが、特に吉宗と嫡男・家重(中村梅雀)のやり取りなど感動的なものであり、今でもよく覚えています。

 さて「べらぼう」には、誰もが知る歴史上の有名人も多く登場してきます。例えば、平賀源内(安田顕)・田沼意次(渡辺謙)・喜多川歌麿(染谷将太)がそうです。田沼意次と言えば、一般的には「賄賂政治家」のイメージが強いと思われますが、近年、そうしたイメージも塗り替えられつつあります。渡辺謙さん演じる田沼意次がドラマでどのように描かれるのかが1つの注目点です。

 歴史上有名な人物ではありませんが、老中を務めた松平武元を演じるのが、石坂浩二さん。石坂さんが大河に出演するのは「江~姫たちの戦国~」(2011年)以来ですが、83歳の名優の演技も注目です。

 「べらぼう」の予告動画を見ましたが、動画を見る限りでは、アップテンポ、躍動感溢れる作りになっていたように思います。主演の横浜流星さん、脇を固める名優の演技、そして大河ドラマで余り描かれることがない江戸時代中期がどう描かれるのか、新・大河ドラマへの期待が膨らみます。

(歴史学者・濱田 浩一郎)

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