「白雪姫」吉柳咲良、心に刻んだ“プリンセスの心得”とは 「ネガティブ」を胸に突き進む20歳の女優像

 女優の吉柳咲良(きりゅう・さくら=20)がこのほど、よろず~ニュースの取材に応じ、20日に公開を迎えたディズニー映画「白雪姫」への思いを語った。ディズニー不朽の名作を実写でミュージカル化。吉柳はオーディションを受けて主人公・白雪姫のプレミアム吹替版の声優を射止めた。「憧れ」「ほど遠い存在」と語るディズニープリンセスを演じきった吉柳が、心に刻んでいた“プリンセスの心得”や、ネガティブとの向き合い方について明かした。

  ◇  ◇

 劇中では、吉柳の声が白雪姫の感情を細部まで伝え、歌声がミュージカルシーンをダイナミックに彩っている。完成した吹替版を見て「自分が歌うシーンになると、緊張感で肩に力が入った状態だったんですけど、世界観だったり、物語の美しさ、素晴らしさに感動して、今からたくさんの方々に届くんだなと思うと感慨深いなと思います」と丁寧に話した。

 昔から「いつか絶対にディズニーの作品に携わることができる人になりたい」という夢があった。その中でも「ディズニープリンセスはすごく憧れを抱いていたもので、自分にとってはほど遠い存在というふうに思っていました」と語った。「貴重な機会が何度も訪れる可能性はすごく低いから絶対にものにしたい」と臨んだオーディションだったからこそ、「受かったと聞いた時はホッとしましたし、すごく嬉しかったです」と喜びに安堵が混じったという。

 世界初のカラー長編アニメーションとして製作された「白雪姫」(1937年公開)はディズニーの“原点”といえる作品。プレッシャーは「もちろんありました」と感じつつも、「プレッシャーというよりは『だからこそ、私は最後まですごく素敵に務める責任がある』と思いました。それをお届けできるようにできる限りの努力をしなければいけない」と覚悟を決めていた。

 普段から“プリンセスの心得”を心に刻んでいたという。「優しいし思いやりもある、だけどその中に自分の軸がある凜とした方というイメージがプリンセスにあった。だから人に優しくいられるように、その中でちゃんと自分の意見を持つように」と明かした。

 また、心得は内面的なものだけでなく「私は喋るスピードが早めで相手が『お、お』ってなっちゃったりする時があるので、相手のペースを意識して喋るようにしました」と工夫。スピードに加えて「ちょっとプリンセスを意識して喋るっていう、よく分かんない遊びをしてました(笑)」とも告白した。「普通だったら『そこの水、取ってくれない?』のところを『すみません、そこの水を取っていただけることは可能かしら』みたいな(笑)よく分からないけど、ずっとそれをやっていたんですよ」と日頃の生活から“プリンセス要素”を足していったという。

 記者の質問にも理路整然と自分の言葉を紡いでいく吉柳。しかし、自身について「仕事もそうですし…とにかく自分のことに関する自信はないタイプで、自分のことになると一気にネガティブになりがちです」と意外な一面を明かす。

 「でも、それを否定するつもりもないというか『そういう自分もいるよね』くらいに思うようにしています」ときっぱり。その真意を「ある程度のネガティブをどこかで持っておくことで意外と頑張れたりするところもある。『できないかもしれないから、もっと頑張ろう』と変換できることでもあるので、私はある程度のネガティブは自分が共感するためにも必要なことだと思っています」と、ネガティブが表現者としての原動力になってきた。

 石原さとみに憧れ女優を志した吉柳は2016年、12歳で「第41回 ホリプロタレントスカウトキャラバン『PURE GIRL 2016』」のグランプリを受賞し、芸能生活が始まった。17年にミュージカル「ピーター・パン」で、10代目ピーターパン役に抜てきされたことでミュージカルの世界も開けた。近年はNHK連続テレビ小説「ブギウギ」、TBS系日曜劇場「御上先生」など話題作への出演が続く。

 「私にとってこの職業はいろんな価値観、いろんな考え方に触れることができる職業だと思っていて、いろんな人に出会って、いろんな役に出会って、もっともっと私という人間の中にたくさんの価値観や考え方を吸収したい気持ちが強くて、だからどんな役でも誠心誠意心から向き合える女優でありたい」

 「憧れ」「ほど遠い存在」と語っていた白雪姫というプリンセス。役を通してその価値観を吸収し近づくことができたか聞くと「どうですかねぇ、まだまだ私はあんなに素敵な女性にはなれていないと思ってます」と笑った。その上で「優しくありたいっていう意識が大きくなったりとか、完成した作品を見て改めて『もっとこういう人になりたい』という意識が強くなったというのはありますね」と充実感を漂わせた。

 ◆吉柳咲良(きりゅう・さくら)2004年4月22日生まれ、栃木県出身。2016年に「第41回 ホリプロタレントスカウトキャラバン『PURE GIRL 2016』」でグランプリを受賞。17年、ミュージカル「ピーター・パン」の10代目ピーター・パン役に抜てきされ女優デビュー。主な出演作に映画「天気の子」、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」、TBS系日曜劇場「御上先生」など。24年4月にデビュー曲「Pandora」をリリースし、ソロアーティストとしても活躍の幅を広げる。

(よろず~ニュース・藤丸 紘生)

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