湖月わたる NYパワー日本公演で発揮
元宝塚歌劇団男役トップスターで女優の湖月わたる(44)が、12月上演のミュージカル「シカゴ」来日公演(12月4~23日=東京・東急シアターオーブ。12月26、27日=大阪・梅田芸術劇場)に、主演の米女優、シャーロット・ケイト・フォックス(30)のライバル役で出演する。先月下旬にはフォックスがブロードウェーデビューを飾ったニューヨーク公演を現地で観劇。身長174センチの体いっぱいに吸い込んだ“本場の空気”を、日本の演劇ファンの前で思いっきり吐き出す。
先月29日から1週間、湖月はニューヨークに滞在した。人生初の海外として宝塚入団3年目に、特別公演もこなした思い出の地。「そのときに何作かミュージカルを見て、ここが宝塚の男役の皆さんが美学を学んでいく原点なんだと、すごく感じました」と23年前を懐かしむ。
今回の渡米では、NHK連続テレビ小説「マッサン」のヒロインとしてブレークしたフォックスの「シカゴ」NY公演初日を観劇。「とても伸び伸びとやってらっしゃるように見えて、素晴らしいパッション、エネルギーを持ってると思いました」と刺激を受けた。
フォックスが引き続き主演を務める来日公演では、主人公・ロキシーのライバルであるヴェルマを、湖月が一部日程で演じる。「シャーロットさんがカワイイ子犬ちゃんなら、私はクールな大型犬でいきます」。ブロードウェーの客席で抱いたイメージを、自身の役作りに盛り込む。
もともと「シカゴ」のヴェルマには縁があり、2012年のショート版、昨年の宝塚OG版でいずれも同役を日本語で演じた。米国カンパニーによる来日公演は全編英語だが、オーディションで湖月の演技力と英語力が認められた。
近年、日本人では渡辺謙(王様と私=15年)と米倉涼子(シカゴ=12年)がブロードウェーの舞台を経験。「言語の壁を超えたお2人は、自分を奮い立たせてくれる原動力」と敬意を払う。
将来、そのステージに立ちたいか-。そんな問いかけには、言葉を選んで返答した。
「今、そこを思って足が空回りすると怖いので、目の前のことを踏みつけて、前に進んでいかなきゃ」。夢舞台への距離は、焦らず一歩一歩着実に縮めていく。