辛坊さん辛抱の11時間…ヨット遭難

 正直、あきらめた。21日午前7時41分、小型ヨットで太平洋横断中のニュースキャスターの辛坊治郎氏(57)と全盲のセーラー岩本光弘氏(46)の事務所から「船内に海水が浸入した。救助してほしい」と緊急通報電話の118番があった。2人は通報直後にヨットを放棄し、救難ボートに移乗。海上自衛隊の救難飛行艇が相次いで出動し、午後6時14分、2機目が現場海域で2人を救助した。神奈川・海自厚木基地に到着した辛坊氏は岩本氏とともに涙を浮かべながら頭を下げ、死をも覚悟した漂流を振り返った。

 うっすら無精ひげを生やし、ややほおがこけた辛坊氏は「正直、あきらめていた」と、恐怖の11時間を振り返った。辛坊氏と岩本氏は8日、ヨット「エオラス号」で大阪市内のヨットハーバーを出発。福島県いわき市の小名浜港に寄港し、16日に米サンディエゴを目指し出港したが、わずか5日後に暗転した。

 第2管区海上保安本部(塩釜)によると、現場は宮城県・金華山の南東約1200キロ。午前7時35分、太平洋横断を企画した「プロジェクトD2製作委員会」事務局に、辛坊氏から「右舷から浸水あり。船体放棄しかない」と電話が入った。「もしかしたら排水がポンプでいけるかもしれない」と希望を抱いた辛坊氏だが排水できず、事務局から海上保安庁に救助を要請した。

 8時1分、辛坊氏から事務局に「船体を放棄しました」と電話が入った。2人は食料や水が積まれているライフラフト(救難ボート)に衛星電話とペットボトルを持って移乗した。

 海上保安庁の航空機LAJ500が11時44分、ライフラフトを最初に確認した際は現場で弱い雨が降り、波の高さは約3メートル、風速18メートルだった。午後も悪天候が続き、救助のため現場に向かった海自の飛行艇US2は午後3時、着水できずに燃料切れのため引き返した。

 同時刻、2機目のUS2が神奈川・厚木基地から救助に出発。5時53分、現場に着水すると6時14分には2人を救助。半日近くにわたった漂流に、ピリオドが打たれた。

 2人は午後10時31分、厚木基地に到着。しっかりした足取りでタラップを降りた辛坊氏は、涙を浮かべながら「どうもご迷惑をおかけしました」と頭を下げた。食料は1週間分あったが「体温がどんどん下がっていって、明日の夜までもつかな」と、死を覚悟したことを告白。それでも「とにかく生きよう。大丈夫だから」と、2人で話したという。

 命拾いした辛坊氏は「たった2人の命を救うために、自衛隊、海上保安庁の何百人の皆さんが、命を投げ出す覚悟で、4メートルの波を越えて、助けに来て下さった。この国の国民で良かった」と、海保と海自に感謝した。

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