野々村元県議半べそ謝罪 懲役3年求刑
日帰り出張を繰り返したなどとうその報告書を提出し、政務活動費約913万円をだまし取ったとして、詐欺罪などに問われた元兵庫県議の野々村竜太郎被告(49)の論告求刑公判が25日、神戸地裁で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。野々村被告は「1人でも多くの方を幸せにすること…」などと半泣きで声を震わせながら意見陳述。弁護側は「結果的に政務活動費のあり方について社会に問題提起した面もある」と“功績”を主張する場面もあった。
午前9時すぎ、裁判所入りする車の中では、カメラに撮られないよう、丸いオシャレ帽子をかぶったままうずくまっていた野々村被告。2月に保釈され、約2カ月ぶりとなった法廷では、前回公判の黒ジャージー姿から一変、黒のスーツに、青のネクタイ、黒縁眼鏡姿。前髪は前回より少し伸びた短髪で、後頭部は黒々とする中、前頭部から頭頂部にかけて、髪はほぼなかった。頬やあごひげを、きれいに整え、どこか“学者風”のダンディーな雰囲気を漂わせた。
検察側の求刑の際には、ネクタイに触れたり、落ち着かない様子。最終意見陳述では、用意した紙を聞き取りにくいか細い声で読み上げた。
公判中に、虚偽記載が指摘された収支報告書に関する大半の質問に「記憶がない」などと繰り返したことに「医師から解離性健忘症の可能性もあると診断されており、記憶がございませんので、説明責任を果たせず、申し訳ございません」としゃくりあげ、号泣寸前の涙声で謝罪。頭を下げた。
検察側は論告で、「議員初年度から早くも大胆不敵に実行し、2年目には額が2倍になった」「狡猾で悪質」と指摘した。
これまでの公判では、「記憶がない」と繰り返したことに、「記憶障害の可能性」と説明していたが、新たに「解離性健忘症の可能性」と病名を口にした。ただし、最後まで法廷では診断書を提出する手続きはみられなかった。検察側は「何の医学的根拠も説明もない」「反省がみてとれない」と断じた。
判決公判は7月6日。