高時給の「コールセンター」暴言だけでなく、SNSで誹謗中傷も!
「コールセンターの受電、もう10年目よ。つらい?時給もいいし、周囲が楽しければ乗り越えられるって」
久しぶりに再会した友人の言葉に押され、アラフィフ主婦のNさんは、すぐに履歴書を準備した。
だがNさんが採用されたのは受電ではなく発信業務。電話営業だった。初日の研修で商材説明を受け、トークスクリプト(発信内容から展開する予測を台本のように記載したもの)を渡され、早速2日目から実際に電話をかけはじめた。
Nさんの担当は企業、法人への営業コールで、1時間50件の発信件数が目標。1日6時間勤務で平均300件の発信数のすべての会話は録音されており、時折、上司から指導が入った。
リストに沿って電話をすると、たまに相手先の携帯電話へ転送されることがあり、「休みの日に営業電話掛けてきやがって。お前、これ転送やぞ!」と怒鳴られたこともある。暴言が飛び出し、理不尽なことを言われても「さようでございましたか。大変失礼いたしました」と丁寧に謝罪する。
業種によっては、担当者に繋いでもらった途端、荒々しい言葉を投げつけれらたこともある。「忙しいのに営業電話を掛けてくるな!お前の名前は?フルネームで言え」と問い詰められたことも。先輩の中には、知らぬ間にネット上に企業名、個人名、悪評を書いて拡散された人もいる。
このようなとき、どう対処すればよいのか。法テラスによると、SNSで誹謗中傷されたときは、すぐに「内容とURLを保存」しておくことが重要だという。内容によっては名誉毀損罪、侮辱罪に該当する場合もある。民法では不法行為によってこうむった被害に対し損害賠償請求することができる。
投稿削除に関しては、違法有害情報相談センター、法務局へ相談。身の危険を感じたらすぐに警察に行くことも大切だ。雇い主であるコールセンターも、従業員が安全かつ健康に働くことができるよう配慮する「安全配慮義務」を担っており、報告体制の整備など組織的な迅速対応が求められる。
言葉は時に鋭利であり、相手を傷つけ社会問題を引き起こすこともある。怒りやストレスから引き起こされる暴力行為や、心身の健康に悪影響を与える負の感情。まずはひと呼吸おいて心を落ち着かせるなど、自身の怒りを制御するスキルを身につけ、言葉ひとつで犯罪に巻き込まれないようにしたい。(デイリースポーツ特約・市来島姫)