田舎町の安心安全はもう逸話?高齢者を狙う「老人ホームの名義貸し詐欺」に注意!
「この町で老人ホームを建設予定なんですが、本日はそのごあいさつのお電話です」
突然、知らない若い男性から、電話がかかってきたというのは、九州の小さな町に住む77才のY子さん。とりあえず話を聞くことにした。
「すでに入居したい方が殺到しているのですが、もし入居を考えていないようなら、権利を譲って頂けないでしょうか。申込書に署名していただくだけで大丈夫です。それが可能であれば入居なさる方から、名義を貸して頂くお礼が入りますので振り込みます」
Y子さんは不審に思い断った。電話を切った後、すぐに町役場へ確認したが、そのような計画はないとのこと。「怖かった。騙されるところだった」とY子さんは、胸をなで下ろした。
帰宅した娘に昼間かかってきた電話の話をすると「それは名義貸し。困っている人に権利を譲ってあげたいと思う、優しい気持ちにつけこむ詐欺よ」と言い切った。Y子さんの娘は、消費者トラブルに詳しい仕事に携わっており、高齢者が善意で名前を貸す、助け合いのような名義貸しが存在していることを知っていた。
「仮に申込書にサインしてしまったら、後で老人ホーム関係者を名乗る人から電話がかかって来て『あなたの行った名義貸しは違法行為です』って、トラブルの当事者に仕立て上げられて、解決のための金銭を要求されていたかも。お母さんよく確認したね」
名義貸しは刑法により半年以下の懲役または100万円以下の罰金だ。翌朝、Y子さんのもとへ、またもや男性が電話を掛けてきた。「名義を貸して、私は罪に問われませんか?役場に連絡しましたが、そんな計画はないそうですよ。警察に連絡しますね」と伝えると、男性は何も言わず電話を切ったという。
周囲にも伝えなくてはとY子さんは、すぐに行動を起こした。今回の顛末を通っている教室や趣味の仲間たちに連絡。町役場にも注意喚起を促してもらうよう伝えた。
名義貸しだけではなく、SNSでの高額当選通知、実在しない海外事業への投資勧誘など、高齢者を狙った詐欺は全国で起きている。もうけに関するフレーズが出たり、少しでも不審に思った時は消費者ホットライン「電話番号188」へ。Y子さんも一人でも詐欺に引っかかる人がいないことを願っている。
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【消費者ホットライン】
平日:9時00分から17時00分
土曜・日曜・祝日:10時00分から16時00分
※相談窓口によって受付時間が異なります。
※年末年始(12月29日から1月3日まで)を除き、原則毎日利用可能。
(デイリースポーツ特約・市来島姫)