この子たちどうなるの?高齢者のペット飼育問題 数百万円の前払いが必要な場合も

 可愛いペットは、かけがえのない存在。改正動物愛護管理法でも「終生飼養」を明示しているが、自身の健康問題や突然の状況変化により、飼育が難しくなる場合もある。ペットが飼い主の都合に左右されることなく、いつまでも元気に安心して過ごせるために何が出来るのだろうか。

 子どものいない70代のHさん夫妻は、長年犬を可愛がってきた。健康に留意してきたが、膝を痛めたことがきっかけで、散歩が大変になってきた。奥さんも持病を抱え、次第に犬の世話が困難に。入院や施設入居となった場合の飼育問題が浮上した。

 そこで市の動物管理センターに相談した。Hさん夫婦のように飼い主が高齢の場合、ペットの給餌、排泄物の世話、散歩などで、泣く泣く手放す決意をせざるを得ない人もいる。市の動物管理センターにはペットに関する沢山の相談が寄せられている。病気やケガで入院したが親族も飼えない。動物病院に支払う費用が捻出できない。老老介護となりペットの世話ができない…など相談は多種多様である。

 近年、銀行や保険会社による「ペット信託」も認知されてきた。金銭管理者と飼育者を設定し、遺言でペットの世話を条件に遺産を渡すこともできる。信託財産があるため、確実に飼育費(食事、住環境、病院代等)を残し、第三者に託すことができる。しかし初期費用や飼育費などを「信託費用」として、一度に支払う必要がある。ペットの余命から飼育費用を算出するため必要な信託金額は変わってくるが、数百万円規模に膨らむ場合もある。愛するペットの命を託すとなると、安心して託せる費用の準備が必要だ。

 そこで注目を集めつつあるのが、NPO団体への委託だ。例えば「ラブポチ信託」は飼主の生命保険を利用し、生命保険信託というサービスを活用するので、事前に大きな費用を捻出できなくても大丈夫。運営する認定NPO法人ピーサポネットの藤野善孝理事長によると、飼い主亡き後もペットが安心して生活できるための資金捻出と終の棲家を提供することを約束した「全国初のペットの看取りサービス」だという。

 ラブポチ信託には現在170名の専門資格を持つ「ペット相続士」がいる。全国各地の老犬、老猫保護施設の紹介、不自由なく育ててもらえる里親ボランティア探しのサポートなど相続問題の相談にも乗ってくれる。

 高齢の飼い主とペットの絆を守り、安心して過ごせる社会の実現に向け、様々なサービスが生まれている。自分の年齢を考え、最初から飼わない愛情もある。だが飼った以上は、寿命を全うさせる責任がある。残された大切なペットのために、家族として最適な選択をしていきたい。

 (デイリースポーツ特約・市来島姫)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

WOMAN最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス