梅雨時期ヘアケア シャンプーの「さらさら」「しっとり」の違いとは?メーカー研究員に聞く

 九州北部、四国、中国、近畿、東海などが梅雨入りしました。関東でも6月2日ごろに梅雨入りするようです。この時期、気になるのが髪のケア。湿気によるうねりや広がりを防ぐため、効果的なケアのためにはシャンプー選びも重要です。ちょっとしたコツを知っておくだけで、宣伝文句に頼らない、シャンプー選びができます。理美容業界を牽引する世界的メーカー・タカラベルモント株式会社の研究員にお話をお伺いしました。

 「梅雨時期には重めの髪質にすることで、広がりを防ぐことが出来ます。つまり『しっとり』をうたっているシャンプーを選ぶことも一つの方法です」

 そう語るのはタカラベルモントでヘアケア製品を開発する研究員・水谷高志さん。でも「しっとり」タイプはどうやって選べばいいのか、そもそもシャンプーの「しっとり」「さらさら」の違いとはなんなのでしょうか。

 見て頂きたいのは、裏面の成分表示です。シャンプーによる髪の仕上がりを決める要素は色々とありますが、中でも、汚れを落とす役割を持つ「界面活性剤」という成分が根本から質感に作用しています。つまり、この成分が「しっとり」「さらさら」を決める大きな要素です。

 成分表示には、水の次に書かれている2~5番目の成分が界面活性剤にあたり、多くの種類があり、洗浄力や仕上がりの質感が異なります。なおヘアケア品に使用されている界面活性剤は、安全性の高いものです。

 ここでは主要な4種類をご紹介します。「酸性石けん系」や「タウリン系」は、「高級アルコール系」と「アミノ酸系」の中間の作用のイメージで、洗浄力と保湿力のバランスがよく、髪の軽やかさを維持できるため、さらさらとした質感になり、以下の主な4種を紹介します。

●「高級アルコール系」

→ラウリル硫酸Na、ラウレス硫酸Na、ラウレス硫酸アンモニウムなど

洗浄力◎ 保湿力 △

●「アミノ酸系」(しっとり)

→ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルメチルアラニンNaなど

洗浄力 △ 保湿力 ◎

●「酸性石けん系」(さらさら)

→ラウレスー3酢酸Na、ラウレスー4酢酸Na、ラウレスー5酢酸Na

洗浄力 〇 保湿力 〇

●「タウリン系」

→ココイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンNaなど

洗浄力 〇 保湿力 〇

 髪質によりますが、梅雨対策としては「しっとり」質感の「アミノ酸系」のシャンプーを使い、重さを出すのも一つの方法。それだと重すぎる場合は「さらさら」質感の「酸性石けん系」「タウリン系」シャンプーを使い、仕上げに「しっとり感」を出せる植物油が配合されたアウトバスオイル(洗い流さないトリートメント)を使うことも有効です。ただし軟毛の方は、植物系オイルですとべたっとしてしまうので、「さらさら質感」のシリコーン系のアウトバスオイルがおすすめです。

 またドライヤーでしっかりと水分をとることも有効です。濡れたまま髪を放置するとうねりにつながるので、梅雨時期は特にしっかりと乾かし、最後に冷風で髪の熱を取ってあげると効果的です。冷風を当てると毛髪表面のキューティクルが閉じるので、湿気が髪に入ることを防げます。

 そしてホームケアだけではなく、ヘアサロンでプロの手にかかることもおすすめ。サロンで施術できるトリートメントメニューは、広がった髪のキューティクルを閉じ、しっかり整えられるので、うねりにつながる無駄な水分が入りません。

 今年の梅雨は、シャンプーの「さらさら」「しっとり」を上手く使いこなして、ノンストレスで過ごしましょう!

【取材協力】

 タカラベルモント株式会社

 1921年創業。理美容や医療の業務用設備機器および美容専売品化粧品などを製造・販売を行う。世界120ケ国以上で展開。

 https://www.takarabelmont.co.jp/

 (デイリースポーツ特約・遠藤萌美)

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