『どうぶつ弁護団』動物虐待を告発 「娯楽目的の動物利用は時代遅れ」凶悪犯罪に発展する可能性も

「どうぶつ弁護団」がもの言えぬ動物たちを代弁、虐待を告発 ※写真はイメージです(cunaplus/stock.adobe.com)
NPO法人「どうぶつ弁護団」の細川敦史弁護士(前列左から2番目)らメンバー
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 先日「アライグマを金属バットで一撃」という心ない動画が配信された。強打されピクピクしながら息絶え絶えなアライグマの姿-。現在は誰もがYouTubeなど、インターネット上で映像を容易に発信できる。動物への残虐行為が広まる恐れや、意図せず虐待映像を目にした人が不快感や、精神的ショックを受けることもあり、犯罪が成立するかどうかに関わらず、問題があると示唆するのは細川敦史弁護士。兵庫県弁護士会と神戸市獣医師会の有志15名で結成した「特定非営利活動法人どうぶつ弁護団」の理事長でもある。

 2022年9月の発足以降、「どうぶつ弁護団」では動物虐待や遺棄に関する情報や資料をもとに告発状を作成し、捜査機関に提出してきた。容疑者の特定が難しい場合でも、どうぶつ弁護団が自ら、動物愛護法違反の罪で告発する。動物虐待事件の告発を目的にした専門家集団は、全国初となる。もの言えぬ動物たちを代弁し守っていくため、法改正に関する提言、虐待防止の普及啓発にも取り組んでいくという。

 「インターネット上で虐待映像が公開されているとの情報は、かなりの割合で寄せられています。炎上による収益を得るために虐待行為を公表することは、非常に問題があると考えています。刑事告発だけでなく、今後は虐待映像の取り扱いに関する仕組み作りを検討していきたい。現段階では、虐待映像を見かけたら、すぐに動画管理者に通報してほしい」

 1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件では、当時14歳の少年が事件前に猫を繰り返し虐待していた。「動物を虐待する行為が見逃されると、場合によっては深刻な凶悪犯罪へ発展する可能性があり、動物虐待の時点でその芽を摘む必要がある」という。

 「私たち人間は少なからず動物を利用し、恩恵を受けて生きている。動物利用に問題を向けると、社会が成り立たない。しかし社会にとって必要性のないものも存在する。娯楽のための動物利用は必要なのか考えてほしい。一人ひとりが、動物福祉に関心を寄せ、虐待を見逃さず、この活動に協力してもらいたい」

 細川弁護士の熱い思いが伝わってくる。

  ◆  ◆

 人と動物に優しい社会を目指し、動物虐待事件に取り組む「どうぶつ弁護団」だが、出来ないこともある。

 ①虐待されている動物の保護、レスキュー

 ②動物虐待事件の法律相談や依頼

 ③獣医療行為

 ④即時・スピーディな対応 

※NPO法人は弁護士業を営むことはできないため、動物虐待に関する法律相談は受けられないので注意を。 

(デイリースポーツ特約・市来島姫)

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