強制加入に園児1人につき役員1回!?共働き世帯の負担となる保育園の「父母会」とは
子どもの健やかな学校生活のサポートを目的に、保護者と教員が協力し活動を行うPTA。近年の共働き世帯の増加に伴い、活動の縮小やボランティア化、廃止といったPTA活動自体の見直しを行う学校が増えています。
そんな中で、共働き世帯がほとんどの保育園においても、PTAに代わる保護者会または父母会と呼ばれる活動が存在するのはご存じでしょうか。父母会は教職員も加入するPTAとは異なり保育園に在園する保護者のみで結成され、保育園の先生が関与せずに役員決めや行事の運営などが行われます。
活動内容は園によってさまざまですが、交流会やイベントの企画と運営、行事のサポートや活動に必要な会費の回収と会計業務など。複数の役員で分担しているとは言え、仕事と子育てをしながら行うには、決して楽とは言い難い業務で、多くの保護者から「負担になっている」の声も上がっています。
特に園児1人につき役員を必ず1回やらなければいけない園では、負担はかなりのもの。3人の子どもを通わせたAさんは、父母会の強制的な参加の仕組みに不満を感じていました。「父母会の活動は保育園から求められているわけでもないのに、入園と同時の強制的加入や、在園中に1回必ず役員をやらされたり。活動への参加の同意もなく強要されることに納得ができません」
父母会活動のない園から、引っ越しで転園してきたHさんは「引っ越しをする前に通っていた園では父母会活動がなかったので、転園してはじめて父母会の活動を知りました」と驚く。「以前の園では父母会がなくても全く問題がなかったので、仕事と子育ての合間の限られた時間を使ってまで役員をやらなければいけない事に疑問を感じます」と負担の大きさを訴えています。
コロナ禍をきっかけに、多くの父母会で大幅な活動の縮小が行われました。Aさんたちの園でも、役員会議のオンライン化やイベントの中止など、業務がスリム化されましたが、父母会自体がなくなることはありません。廃止のために必要なステップの多さと、そこにかける労力の大きさが一番の要因と考えられます。時間と労力を考え「今までの形で継続しよう」という答えになることも納得できます。
普段はなかなか取れない他の保護者の交流の場や子ども達のためのイベントなど、父母会が存続することで得られる体験もあります。しかし子どものためにと誕生したはずの活動が、家族との時間に影響があっては本末転倒。今の時代に合わせた形への変化が求められます。
(デイリースポーツ特約・はせがわ みずき)