アラフォー大学講師 学生に韓国アイドルについて教えてもらった その顛末は-

K-POPの魅力は? ※写真はイメージです(Ekaterina-Siubarova/stock.adobe.com)
推しの写真やグッズを手に持つ箱田朝子さん(左)の佐野愛さん
推しの写真やグッズを前に韓国アイドルについて語る箱田朝子さん(左)の佐野愛さん
3枚

 筆者はこの春から大学の非常勤講師として働いている。自身が大学を卒業してから14年。学生の自己紹介で「韓国アイドル好き」と語る人の多さに驚いた。K-POPが一つのジャンルとして世界的な人気を得ていることは情報として知っていた。しかし、いざ目の前に突き付けられると疑問が沸く。『なぜこれほどまでに惹きつけられるのか』彼女たちに教えてもらった。

 経営学部3年の箱田朝子さんと佐野愛さん。2人は1年の韓国語の授業で出会い、K-POP好きと知り仲良くなった。ちなみに韓国語の授業は人気のため抽選が行われる上、授業数も増えているそうだ。

 箱田さんはRed Velvet(レッドベルベット)のスルギ、佐野さんはIVE(アイヴ)のウォニョン推し。

 -2人はどんな『推し活』をしている?そもそも『推し活』っていう?

 「『推し活』は使わないです。メディアではよく使われていますが、私たちは『オタクしている』って言っています」

 冒頭からのジェネレーションギャップ。どんな『オタクしている』のか聞いてみると、まず推しの情報の供給量がものすごく、1日でもチェックしないと追いつけないので、SNSのこまめなチェックは欠かせないという。情報源は主に『YouTube』『X(Twitter)』『Instagram』、そしてアイドルが所属する、韓国の総合エンタメ企業HYBEが運営する『Weverse』というコミュニティーアプリ。ちなみにこのアプリの累計ダウンロード数は1億を超えたという。

 SNSではメンバーはグループ公式の日本版と韓国版はもちろん、同じファンの人達もフォロー。ファン仲間が韓国語の情報を翻訳してくれたりと、オタクするのには欠かせないのだという。

 「朝起きてX(Twitter)をチェック。時間が空いた時もチェックしています。韓国のアイドルは半年に1回ほどしか新曲を出さないんです。新曲を出すことを『カムバック』というんですけど、1カ月位前から『ティーザー』を出すので、そのチェックをして気持ちを高めています」

 カムバック、ティーザー…耳慣れない言葉が飛び出す。『ティーザー』は新曲のイメージ写真や映像の一部を広告として流すこと。さらに『カムバック』したときは、出演した各局の映像チェックも欠かせない。韓国のアイドルは、出演毎にガラッと衣裳のコンセプトが変わり、それを語り合うのが楽しみのひとつだという。

 他にも基本情報を色々と教わった。アイドルのニックネーム方式や、放送局に出入りすることを『出勤・退勤』と言うなど、初めて知るカルチャーは新鮮で楽しい。

 なかでも面白いと感じたのは、ファンは所属する事務所のことまで把握していることだ。韓国の芸能人が事務所とトラブルになることは日本でも報じられている。どのようにメディアに露出させるのか、売り出し方や方針も事務所によって大きく違うため、動向を把握するためには重要な要素なのだ。「あのアイドルはあの事務所だからねぇ」と自然に話す姿は、アイドルへの憧れを持ちつつも、現実的な目線も持ち合わせる、どこか現代的な大学生の特徴のようにも感じた。

 -韓国のアイドルの特徴は?

 「韓国のアイドルは『多様性』を許容してくれます。背が低い人も高い人も、色白も、色黒も、可愛い人も、かっこいい人も、コンセプトも色々。そして、強い女性、カッコイイ女性のイメージがあります。それは曲にも表れていて、例えば(G)I-DLE(ジー・アイドゥル)の『Queencard』は、ルッキズムについてメッセージ性が込められていて、聴くと励まされます」

 実際に箱田さんは自身の目が一重であることをコンプレックスに思っていたが、一重でキレイなスルギを見て自信が持てた。佐野さんも172センチある身長がコンプレックスで猫背になりがちだったが、ウォニョンが173センチであることから高身長は「デカい」ではなく「スタイルがいい」と捉えられるようになったという。

 2人の周りには、洋楽好きな人もいるし、アニメ好きな人もいる。Vチューバーが好きという人もいる。取材の冒頭「『オタク』っていう言葉にちょっとマイナスなイメージはない?」という筆者に対し「みんな何かしらのオタクだと思うから」と二人は語っていた。『多様性』を認め合う感覚が自然に身についていることを知った。

 帰宅後、2人がお勧めしてくれた「Queencard」をYouTubeで見た。そこには「ありのままの自分」を大切にすることを表現する、まさに彼女たちのアイドルがいた。

 (デイリースポーツ特約・遠藤萌美)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

WOMAN最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス