恐怖!ベビーカーがはまって動かない!まさか東京で 列車とホームのすき間、大阪との違い

 「あれ?こんなに広いの?」東京で初めて感じた恐怖。それはベビーカーの車輪が列車とホームのすき間にはさまること。自力では抜け出せず、周りの人に助けてもらうこともあった。大阪市内で出産した筆者。大阪では全く気にもとめずにベビーカーでの外出を楽しんでいたが、東京では電車に乗りこむ時はいつも最大限の注意を払っている。何事も最先端だと思っていた東京での出来事を不思議に思い、調べてみた。

 まず、お伝えしたいのは、東京では決してバリアフリー化が進んでいない、という状況ではないという事。今年3月に国土交通省が発表した調査結果によると、平成18年に施行されたバリアフリー法の実績として、東京都では、例えば調査項目の一つ、バリアフリールートにおいて段差解消がなされている駅は96.8%となっている。

 ではなぜ、東京と大阪でホームと車両のすき間に違いがあるのか。それは筆者が大阪でよく利用していた大阪メトロに秘密があった。大阪メトロは国に表彰されるほど日本でもトップクラスにバリアフリー化が進んでいた。国は車いすの9割の方が一人で乗り降りできる「段差3センチ、すき間7センチ」を目安としているが、大阪メトロでは今年7月26日時点で133駅の内75駅で対策が進み、予定も含め、段差は0から3センチ、すき間は最大で約3.5センチとなっている。

 大阪メトロでは2010年からこの段差とすき間の解消の問題に取り組んでいて、段差対策として、ホームの床を電車側に向けスロープ状にかさ上げ、すき間対策にはホームと車両の間にくし状のゴム材を設置している。ちなみにこのゴム材は独自に開発したものだ。さらに2027年3月までに、全ての駅で対策を終える予定だ。

 この段差・すき間の解消について国土交通省によると、全国主要な鉄道の9379駅の内、対策がなされているのは931駅と約10%にとどまる。そもそも、浮き沈みの大きいバラスト(砂利がしかれている)駅や、日本の特徴でもある、曲線が多く狭いホームでは対策が難しいのが現状だ。国土交通省では「鉄道が建設された国鉄時代にバリアフリーという考え自体がなかったことも原因としてあげられる。調査結果を可視化するなどして、事業者の意識醸成をしていきたい」としている。

 ハード面での対策の一方で、ソフト面でのユニークな対策を進める事業者もある。JR西日本近畿統括本部では、大阪府内の地元大学などと共同し「スキマモリ」という妖怪を生み出し、子どものすき間転落防止を目指している。転落事故の約3件に1件は10歳未満の子どもということから、こわいけどおもしろいキャラクターを用い、イベントなどで啓発活動を行っている。2022年からは東急電鉄も賛同している。

 東京では、一人でベビーカーを押し外出していると、多くの人が助けてくれる。電車の乗り降り、エレベーターのない階段。ハード面ですぐに対応できない分、ソフト面での対策は自然と根付いているように感じられる。

 全国各地へ旅行に出る機会の多い夏休み。電車に乗るときは、風景だけではなく足元にもぜひ注目してみてほしい。

 (デイリースポーツ特約・遠藤萌美)

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