インバウンド回復 外国人観光客に向けたヴィ-ガン懐石も登場!老舗料理店でも新たな取り組み
新型コロナ大流行以降、入国制限などで、外国人観光客が大幅に落ち込みました。しかし4月29日の入国制限解除をきっかけに、インバウンドの大幅回復が観光地を中心に全国各地でみられます。多くの企業も、インバウンド回復に合わせて、さまざまな外国人観光客向けのサービス向上を図っています。
緊急事態宣言など長く厳しい状況下にあった外食産業もそのひとつ。大阪で100年以上の歴史を誇る老舗日本料理店の料理長は「以前は大阪市内を中心に、圧倒的に中国からのお客様が多かったのに比べて、今は韓国やヨーロッパ、東南アジアなど幅広い国からの観光客の方が見られるようになりました」と、コロナ禍以前と比べて外国人観光客の客層の変化を感じたと言います。
そこで「日本に住むさまざまな国籍の外国人に、モニターとして食事をしてもらい意見を集めることにしました」と、実際のターゲット層の声を集めました。すると海外に比べて、日本では食の選択肢が少ないことを指摘されました。ヴィーガンやベジタリアンなど、食へのこだわりや思想を持つ方が多い海外の人からみると、日本でのレストラン探しは困難だというのです。
そうしたリアルな声をもとに、料理長はヴィーガンメニューの開発に踏み切りました。卵製品や乳製品はOKとするベジタリアンとは異なり、ヴィーガン対応メニューでは動物由来の食材は全て使用ができなくなります。
「出汁はカツオから昆布や椎茸に変更し、アボカドやネギ芽などをネタにしたヴィーガン寿司を考案しました」
もともと精進料理の文化がある日本料理では、ヴィーガン対応のメニューの考案はそう難しくないとのこと。現在、事前予約限定でのヴィーガン懐石コースの提供を試験的に開始しています。
東京都では今年4月より新たに『飲食事業者向けベジタリアン・ヴィーガン認証取得支援補助金(実施:公益財団法人 東京観光財団)』の募集が開始され、外国人観光客が安心して日本で食事ができるように、意欲的にインバウンドへの施策が行われています。
コロナ前の数字になりますが、観光庁が2020年の発表によれば、日本を訪れるベジタリアン・ヴィーガンの外国人旅行者は年間145~190万人。その飲食費は450~600億円にものぼると発表されています。
食事は旅行の大きな楽しみのひとつ。ベジタリアンやヴィ-ガンの方にも日本の繊細な料理を味わってもらえるよう、飲食店でも積極的に取り組んでいます。
(デイリースポーツ特約・はせがわ みずき)