40才を過ぎて、元気だった夫が!こんな症状はない?男性の更年期
女性特有と思われがちな更年期障害だが、実は中高年男性にもある。病気でもないのになんとなく不調や不安を感じたり、ほてりや発汗に悩まされたり。これは男性ホルモン(テストステロン)の低下が原因とされている。
「不眠症になり、集中力も途切れ、上司に嫌みを言われ、どんどん自信がなくなってきて」と話すのは、40代後半の会社員Hさん。更年期障害ではないかと心配した妻が、メンタルヘルスの不調改善には筋トレが効果的と聞き、Hさんを連れパーソナルジムの扉を叩いた。
最初は気が重かったHさんだが、1年経ったいま、スタミナもつき、休日は子供と遊ぶようになり、体脂肪率も減ってきた。心が疲れている日は筋トレからマッサージに変更してくれ、辛い話を聞いてくれた、年上の男性トレーナーのお陰だと話す。
「眠れない」「心が落ち着かない」「意欲がわかない」など、メンタル不調に悩む人が増えている昨今、「この状態を放置せず、相談して下さい」と話すのは、循環器内科医でスポーツドクターの宮脇大医師。運動療法をはじめ生活習慣病の予防医療に取り組んでいる。
-我慢して悩んでいると苦しくなりますよね。
「最後まで聴いてくれる相手を選んで話してみてください。頭の中の整理がつきますし、ヒントがもらえることもあります」
-相談に来られる方へはどんな治療を?
「男性の更年期障害は、テストステロンの低下が原因です。個人差が大きいので、不調が起きても見逃されがちです。更年期障害は、男性ホルモン分泌の低下が始まる40歳以降に起きやすく、検査結果で数値が低下していれば、『男性ホルモン補充療法』を行います。健康保険が適用されているものは、2~4週間に1回、腕やお尻の筋肉に注射。2~3カ月間で大体効果が出ます」
-その後は運動療法ですか?
「すぐに筋トレ、ジョギングはオススメしていません。まずは、運動するためのコンディショニングを整えること。関節の可動域を広げ、モビリティ(動きやすさ)をしっかりつけてあげてからトレーニングすることが大事です。躓いた時に解決策やチャレンジを促してくれる方とコミュニケーションを取りながら行うと長続きしやすいです」
-宮脇先生から悩んでいる方にアドバイスを。
「悩んでいたら、勇気を出して一歩踏み出して。AIの姿勢分析で姿勢測定してみるのもひとつ。カラオケのように点数があがってくると嬉しいでしょ。行動を起こすと、次第に必要なことがわかってくるし、足りないことが見えてくる。その次は、正しい知識を持った信頼できる人を見つけることです」
更年期に、身体や心が変化することに戸惑うのは自然なこと。患者の目を見てしっかり話を聞いてくれた上で適切に診断してくれる医師や、信頼できる相性のいい専門家を見つけ、辛い更年期症状を和らげていきたい。
(デイリースポーツ特約・せと麻紗子)