「高齢者の皆さん、ぜひ里親に」生きがいになる保護猫 NPO法人が呼びかけ

 「高齢の親が猫を飼い始めてから、忙しいと言いながらも、嬉しそうに毎日写真を送ってくるんですよ」と、たにまちこどもクリニックの院長で、大阪市西区にある保護猫施設のNPO法人CATS WELCARE(キャッツウエルケア)の代表でもある川越里佳さん。「猫は犬と異なり、散歩の必要がなく、広いスペースも不要。猫の世話を始めると高齢者は張り合いが出ますし、アニマルセラピーという言葉もあるように、猫との触れ合いは癒しになるんです」という。

 「飼育ができなくなった高齢者とペット」は社会問題にもなっているが、日本の平均寿命は84.3歳と世界第1位。この先の人生、猫と過ごしたいと願う健康面経済面が安定している高齢者に、ぜひ不安がらず里親を検討してもらいたいと、「高齢者への猫の譲渡」を呼びかける。

 CATS WELCAREに相談すれば、相性のいい保護猫とマッチングしてくれる。将来が心配でも、月3000円のサポート会員になれば、やむを得ない事情で飼えなくなった場合の支援も受けることができる。「高齢者が猫を飼うことは大きな決断で、不安も伴うと思いますが、生きがいを見つけたと喜ばれる方が多いです」と話す。将来的には、我が家の猫自慢をしたり、互いに預かりあえるような高い高齢者コミュニティを目指しているという。

 子どもの頃、ムツゴロウ王国が大好きで、小児科医として働く傍ら、動物保護施設のボランティアや、野良猫を捕獲し、避妊去勢手術して元の場所に返すTNRの支援活動をしてきた川越さん。そんな中、厳しい環境に戻すのが忍びない猫たちを保護したいという思いで、2019年に保護猫シェルターを設立した。これまで200匹が里親に引き取られていった。

以前、多頭飼育崩壊の家庭から飼育放棄された猫を見捨てられず保護したものの、入所できない猫があふれ、多くの預かりボランティアに助けてもらった。そんな反省から、上限は25匹。「ボランティアスタッフの協力があってこその保護猫支援活動。多くの手が必要なので、皆様にぜひご協力をお願いしたい」という。

 電話で保護依頼を受けると、まずはカウンセリング。その後引き取ることになれば病院へ。ウィルス検査やワクチン接種、駆除薬の投薬など、1カ月おきに2度行う。終了後は、ボランティアスタッフの家で健康状態を確認しながら平均1カ月ほど隔離する。現在、保護隔離されている猫の数は15匹。

 受け入れ費用は、子猫~若猫(離乳食後~5歳)の場合、基本料金3万円(去勢手術や接種、検査、投薬代含む)。高齢の猫は、里親に出逢えなかった場合、最期まで看取る。医療費もかかることから、目安としては10万円~20万円(猫の年齢と健康状態に依る)。

 里親を希望する場合は、まず保護猫ルームを予約し、猫と触れ合った後、里親の条件にマッチすれば、2週間のトライアル飼育期間が設けられ、その後、譲渡となる。トライアルの前は、スタッフが受け入れ家庭の自宅を訪問。保護主から預かっている大切な猫であるため、事故や行方不明を避けるため防止策を提案。里親詐欺防止の観点からも、確認に出向くという。トライアル飼育の条件は、毎日朝晩、猫の世話ができること、完全室内飼育ができること、残念ながら出張が多い方は難しいという。

 猫を探す人から、猫と癒しの時間を過ごしたい人まで、猫と触れ合える保護猫施設のCATS WELCARE。利用料金は、医療費や飼育費などに充当するため、触れあいながら保護猫支援活動に参加できる。

 (デイリースポーツ特約・せと麻紗子)

保護ねこルームCATS WELCARE(キャッツウエルケア) https://catswelcare.org/introduction/salon/

■電 話 :06-6556-7765

■利用時間:12:30~18:00

■休業日 :月/火/金(祝日は営業)

■利用料金:1400円(1時間)/ 800円(30分)ワンドリンク付 ※おやつ(100円)は別途

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