ファミレスのテーブル片づける?片づけない?子連れ客のマナー

ファミリーレストランのテーブル片づける?片づけない? ※写真はイメージです(shirohige/stock.adobe.com)
 吉岡由香講師
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 子連れであっても飲食店ではマナーは他の客同様に守らなくてはならない。5歳と2歳の娘を育児中の筆者も自分の行動を見直し、飲食店を訪れる際は周囲の様子を伺い非常に気を配っている。

 そのような中で、子連れにとってファミリーレストランは砂漠の中のオアシスだ。キッズメニューがあったり、子ども用のおもちゃを頂いたり、店員が声をかけてくれたり、マナーには気を付けつつも、子どもウェルカムな雰囲気に安心する。感謝の気持ちを込め、私たちもお店にとって良い客でありたいと考えているが、一つ疑問に思っていたことがあった。それは、テーブルの上を片づけるかどうかだ。

 初めてママ友と子連れでファミリーレストランを訪れた時。筆者は出来る限り、使い終わった皿などは重ねたり、ごみをまとめたり、落とした食べ物は全て拾うなど心がけていた。しかし、何人かのママ友と接すると、そこまで片づけるのは少数派だった。

出来るだけお店の人に迷惑をかけたくない、という気持ちでしていたが、そういえば、レストランやホテルなどで片づけすぎるのはマナーとして良くないということを聞いたことがある。そこで、飲食業界でマナー研修を多数行う、NPO法人日本サービスマナー協会の吉岡由香講師に聞いてみた。

 -高級レストランで客が皿を片づけるのはマナー違反だと思うのですが、ファミリーレストランでも同じなのでしょうか?

 「はい。ファミリーレストランであっても基本的には食器類は片づけない方が良いとされています。特にお皿を重ねるのは避けて頂きたいです。皿の下にソースが付いてしまいます」

 -良かれと思いしていましたが、ご迷惑だったのですね。

 「そもそもマナーというのは相手に不快な思いをさせないようにする振る舞いですのでお気持ちは察しますが、皿を重ねすぎると持ち運ぶ際にくずれてしまうことがあります。店員の方々はご自身なりの重ね方があるので、そのまま置いていた方がありがたいという話を飲食店側からもよく聞きますね」

 -そうなのですね。忙しくて食器を片づけられないかと思い気を遣ってしまいました。

 「飲食店の方々ももちろんお気持ちは理解していると思いますよ。お食事途中であれば、『食器を持って行って頂けますか。』など声掛けをするのが良いでしょう」

 -紙ナプキンやおしぼりの袋などのゴミ類はどうすればいいのでしょうか?

 「ごみ類についてはひとまとめにしていただき、紙ナプキンでくるんでおくと持っていきやすいです。よくグラスに入れてしまう方がいらっしゃるのですが、飲食店側からするとそれが一番困るという話をよく聞きます。水分を含んでしまいますし、分別する際に取りづらくなってしまいます」

 -子どもが飲み物や食べ物をこぼしてしまったらどうするのがいいのでしょうか?

 「個体については落としてしまったら、床でもテーブルでも拾ったほうが良いでしょう。液体をこぼしてしまった場合、量が多ければ店員の方にお願いした方が良いです。無駄にナプキンやおしぼりをつかってしまうと飲食店側は困ってしまいます。量が少なければご自身でサッと拭いてOKです。お子様の対応などで拾えない場合には、退店する際スタッフに声掛けするのが良いでしょう」

 -やはり気遣いは必要ですよね。

 「サービスをする方への対応もマナーの一つです。後で片づけるときに気づかない場合がありますので」

 -他にも子連れで飲食店を訪れる際に気を付けたほうが良いマナーはありますか?

 「お子様が入れるかどうか、召し上がるものがあるかどうか、ということを調べる事前準備は必要かと思います。急な予定で準備ができないという時もあるかと思いますが、その場合は入店の際、店員に確認をしたほうが良いですね」

 -とても勉強になりました。ありがとうございました。

 「給仕をなさる方は片付けも仕事のひとつです。プライドをもって仕事をされていますので、その方の仕事をとってしまわないように、という配慮もマナーの一つですね」

 -なるほど。後に一つ疑問があります。ママ友と一緒に行った場合、他のママ友がマナーに反するような振る舞いをした場合、どうするといいのでしょうか?

 「その場を円滑に過ごせることが一番ですので、一番目上の方の振る舞いに従ったほうが良いでしょう。そのうえで、お皿などを何気なくスタッフに下げてもらうなどの振る舞いがスマートですね」

 -実践的なアドバイスをありがとうございました。

自身を振り返ってみると、相手に本当はこうしてほしいと思っていても、言えないことは日常でも多々ある。気遣いだけではなく、どのような行動が相手にとって最適なのか、きちんと確認すること、それがマナーだと気づいた。

 (デイリースポーツ特約・遠藤きほ)

 ◇吉岡 由香講師

 三菱系金融機関へ入社後、約10年間、店頭窓口やコールセンターで応対業務に携わり、部下への指導も実施。退職後、食品メーカーで約300名の社員対象にビジネスマナーから企業理念浸透など幅広い研修を実施。現在、日本サービスマナー協会認定マナー講師として各種研修を担当。

 NPO法人日本サービスマナー協会 https://www.japan-service.org/

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