バイトで扶養控除を超え稼いでいた大学生の娘 追加の税金請求50万!税務署からの通知に青ざめる50代の会社員の話
Aさんは都内に住むサラリーマン。賃貸マンションに家族3人で住んでいる。Aさんも妻の両親も共に再婚したため、現在8人の高齢の親がいる。入院や介護が必要となり、数日手伝いに行くための交通費、宿泊費もかかっている。大学3年生の娘は、大学院に進むため、自分で学費を払おうと、いくつかのアルバイトを掛け持ちし、コツコツ貯金している。
所得が1000万を超え、妻の配偶者控除が適用されなくなることを知り、成人した子供も同様に、扶養控除が受けられないと勘違いをしてしまった。その話を受けて娘はアルバイトに精を出し、年収120万になっていた。そんなAさんのお宅にハプニングが!
娘の稼いだ額を知らず、まさか103万を超えているとは思いもしなかったAさん。医療費控除の申請をし、確定申告を終えたある日、厚みのある封書が届いた。宛先をみると税務署からだった。恐る恐る封を開けると「長女の所得が、2023年と22年分について103万円を超えているため、2年分の収入超過分に関する申告の修正と、控除を除外した税金の支払いを求める」という内容が記載されていた。
つまり扶養控除が適用できないにもかかわらず、所得控除額が過大で課税所得金額が過少となっている。結果として納めた税金が不足しているので税務署から支払い請求の通達が来たわけだ。
翌日、税務署に足を運び、職員から詳しい話を聞いたAさんは、全身の力が抜けた。23年分の20万、22年分の20万あわせて40万の請求。これに加え、22年分の延滞税も後日支払い請求のお知らせが届くとのこと。
コンビニで40万円の納税を済ませる前に、税理士会の無料相談へ電話をしてみたAさんは、さらに青ざめた。「住民税は2年分で約10万円程度の追加請求があると思われます。税務署は所得税のことしか言わないと思います」と電話口で言われてしまった。
どこかで軽く読んだネット記事に「1000万を超えると配偶者控除が適用されない=成人した子供も扶養控除は適用されない」そう思い込んでしまったことが、そもそもの原因だったとAさんは語る。
税金についての正確な知識を得ることの必要性と、子供がいくら収入を得ているのか確認することの重要性を強く感じたAさん。娘のこれまでの頑張りを褒めつつも、家計に追い打ちを掛ける事態となったことに、夫婦で頭を抱えている。
税理士法人 阪神税務総合事務所代表の冨岡秀樹さんによると、「子供のアルバイト収入が1年間に103万円を超えてしまうと、子供を扶養している親が扶養控除を利用することができなくなり親の税金が増えてしまいます。これは、年収1000万を超えている、いないに関わらずです。母子家庭の場合も、ひとり親控除の対象から外れてしまいます。勤務先によっては、会社独自の福利厚生がもらえなくなることもあります」という
- 子供の収入が130万を超えるとどうなるんでしょうか?
「130万を超えると社会保険の扶養を外れることになり、自分で保険料を払うことになります。年収103万と130万、どっちが得なのか悩んでいる学生の方もいると思いますが、共通して言えることは、特にお金に困っていなければ1年間の収入を103万円以下にして親の扶養に入っていたほうが安心でしょう。
- 学生の方にアドバイスがあればお願いします。
「自分でお金を稼げる力があるのなら頑張ってほしいですが、一般的には、扶養を外れて働く19歳~22歳の場合は200万円以上稼ぐことをお勧めします。勤労学生控除を利用すれば、103万円を超えたときに自分にかかる税金が0円になりますが、扶養親族ではなくなるので親の税金は増えます。税金の負担は親の年収によって異なるので、家族でよく相談なさってください。最近は税金の解説動画もありますが、不安な場合は、初回無料で一般家庭の相談に乗ってくれる税理士事務所もあります」
税金や税務手続きに関する知識は理解しづらく、税制改正もなされ混乱されている方も多い昨今、税理士に相談するのは敷居が高いと感じますが、税金に関する疑問を放置せず、正しい知識を得て、安心できる生活を送りたい。
(デイリースポーツ特約・せと麻沙子)
冨岡秀樹税理士「夙川相続サポートオフィス」ホームページのコラム「相続はじめの第一歩」https://e-souzoku-nishinomiya.com/news/news-4666/