ふるさと納税や生卵、楽器や仏像まで!自販機大国の日本 多彩な商品が登場 安心、安全、タイパが理由?

自動販売機大国日本 さまざまは商品が登場 ※写真はイメージです(yamasan/stock.adobe.com)
生卵の自動販売機
生ジュースの自動販売機
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 日本は世界有数の自販機大国です。盗難や破壊が少ない治安の良さなどが、その理由に挙げられます。さらに新型コロナウイルス禍による生活様式の変化で、非接触のニーズの高まりや、手軽に購入できる便利さに注目が集まり、多彩な自動販売機が登場しています。

 「安心安全な平飼い卵を、自販機で購入できるのは嬉しい!」というのは大分県に住む40代F子さん。安全性の高い食品に関心が高いF子さんは、小学校前に設置された有精卵の自販機を利用している。冷蔵システムが完備された自販機では、週2~3回、養鶏場からの入れ替えが行われ、常に新鮮な卵が提供されている。

 「時間を気にせず思い立ったら手軽に、プレゼントや手土産が買えるので助かる!」というのは、兵庫県に住む50代のN子さん。老舗人気洋菓子店の前に置かれている「クッキー」の自動販売機をよく利用している。紙袋もついているのでお土産として便利。また、手作りパン屋さんの店前にあるパンの自販機では、部活のユニフォームを着用した学生が「美味しい手作りパンが、早朝買えるのはうれしい」と話す。さらに、老舗蕎麦屋や老舗洋食屋も、店前に自販機を設置し、閉店後も自慢の味を味わってほしいと、ソバや洋食デリを冷凍にして販売を始めている。

 最近はラーメンや生餃子、ちゃんぽん、中華料理、肉まん、高級肉、いくら、キャビア、農園の缶詰、車えび、鮮魚、冷凍押し寿司、窯焼きピザ、どら焼き、ナッツ、管理栄養士のダイエット食、自家焙煎珈琲豆を販売する店のコーヒー豆、歯材を販売する店の歯ブラシ、サボテン、仏像、老舗楽器店の楽器販売、目の前で実演しながら搾ってくれるオレンジの生ジュースなど、様々な品目が自販機で販売されている。

 また、お楽しみ要素のある「ガチャ」の自販機に加え、これまででは考えられない「究極の昆虫食 G」まで販売されている(Gはアルゼンチン原産のゴキブリ)。香ばしくてさくさくした歯ごたえが魅力らしい。さらに、セミやイナゴ、クワガタ、コオロギ、コガネムシ、タランチュラ、タガメ、キイロスズメバチ、「UG(ウジ)」まで販売されており、その多様性には目を見張るばかり。

 日本自動販売システム機械工業会(JVMA)によると、飲食店業界の人手不足を背景に、省力・省人化への関心が高まり、食品券売機の台数も、対前年比101.2%となる4万9500台に増加したという。タイムパフォーマンスを重視する客層や、一人で入りづらい店舗の味を求めたり、目新しいものを好む消費者のニーズに応えるため、冷凍食品自販機の需要が拡大している。

 また、自治体も自販機の活用に注目している。

 応援したい自治体や故郷に寄付する「ふるさと納税」は、住民税や所得税の還付や控除を受けながら、返礼品をもらえるシステムであるが、2023年10月のルール変更に伴い、返礼品の量が減ったり、寄付金額も増加しているのが現状。「昨年と同様の自治体へ寄付するかどうか見直しをしている」という声も聞く。

 大阪府泉佐野市では、空港に「ふるさと納税自動販売機」を設置しており、返礼品はレストランやホテルの宿泊券。人気の観光地である和歌山県高野町では、宿坊の宿泊割引券や商品券が返礼品として用意されている。また、神奈川県湯河原町や茨城県常総市、静岡県藤枝市などのゴルフ場では、返礼品をプレー代や食事代として受け取ることができる。

 自販機の利点としては、現地で手軽に利用できることや、自治体としては送料などが発生しないことが挙げられる。これまでインターネットでふるさと納税をしたことがない人たちも、一歩踏み出すきっかけとなることを期待している。

 24時間稼働の自販機。老舗や名店の本格的な味を手軽に購入できるだけでなく、ユニークさや新たなアイデアにも消費者の期待が高まっている。自治体や事業者も自販機を活用しながら、地域の活性化に繋げていくなど、私たちの価値観をさらに刺激する自販機の進化に今後も注目していきたい。

 (デイリースポーツ特約・せと麻沙子)

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