いまさら聞けない外食先でのパンのマナー かぶりついてもOK?NG?気をつけたいこととは
ある日、喫茶店でモーニングを頼むと、コーヒーにトーストとゆで卵がついてきた。しかしフォークやスプーンなどが一切ついておらず、筆者はどうすべきか考え込んだ。
トーストはバターを塗って焼いてあるいたってシンプルなもので、ちぎろうとするとパンくずがボロボロと零れてしまう。しかし、レストランでパンにかぶりつくのはご法度だと聞いたことがある。パンくずが零れるのが嫌だった筆者は、迷った挙句喫茶店の隅で口元を隠しながらトーストにかぶりついた。
果たしてこの選択は正解だったのか、また他にもパンを食べるときに気をつけるべきマナーはあるのか、NPO法人日本サービスマナー協会の吉岡由香講師に話を聞いた。
-一般的なレストランでパンを食べる際はパンをちぎって食べるのがマナーと言われていますが、喫茶店などのカジュアルな場で出てきたトーストはちぎって食べるものなのでしょうか?
「ちぎると手が汚れてしまう場合は、かぶりついて問題ありません」
-パンにそのままかぶりつくのは全面的にNGだと思い込んでいました。
「高級レストランなどでパンにかぶりつくことはマナー違反ですが、カジュアルな喫茶店やレストランでお店の方に嫌な顔をされるようなケースはほとんどありません」
-他にも食パンを食べるときのマナーはあるのでしょうか。
「食パンに既にバターやジャムが塗られているのか、別添なのかによっても対応は異なります。バターや惣菜などが既にパンに乗っている場合はかぶりついても問題がなく、別添のジャムやバターがある場合も、自分で塗ってからかぶりつけば問題ありません。皿にバターやジャムが直接置かれている場合は、パンをちぎり、皿につけて食べるのが良いとされています」
-スープやソースにパンを浸して食べるのはマナー違反になるでしょうか?
「マナーとして明確に違反とはなりませんが、格式高いレストランなどでは避けた方が無難です」
-パンひとつとっても色んなマナーがあるんですね。とはいっても、一般の方がすべてのマナーを把握するのは難しいと思います。正しいマナーが分からなくて迷った場合、どういった点を意識するべきでしょうか?
「マナーを守ることばかりを考えていると、相手にかえって窮屈な思いをさせることもあります。マナーを厳守するよりも、相手の立場になって考え、不快な思いをさせない意識が大切です」
レストランの格やパンの種類によってマナーは異なるが、何より大切なのは周囲への配慮。ルールばかりにこだわらず、相手によって柔軟に対応する意識こそマナーの根底だ。
(デイリースポーツ特約・桐田えこ)
◇吉岡由香講師
三菱系金融機関へ入社後、約10年間、店頭窓口やコールセンターで応対業務に携わり、部下への指導も実施。退職後、食品メーカーで約300名の全社員対象にビジネスマナーから企業理念浸透など幅広い研修を実施。現在、日本サービスマナー協会認定マナー講師として各種研修を担当。