デ・ニーロは普通のアメリカ人のオッサンだった

 デイリースポーツ読者の皆さん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 去年のアメリカ大統領選、すごかったですね、ロバート・デ・ニーロ。「(トランプ候補を)ぶん殴ってやりたい」って。

 僕、デ・ニーロに会ったことあるんですよ。レストランを展開していて、パーティーで日本に来たんです。「レイジング・ブル」(80年)の頃かな。普通の地味なおじさんでした。オーラを消してるし、無愛想で、握手して「大ファンです」って言っても「ああ」って感じ。カミさんと「全くオーラも何にもないな。ただのその辺のアメリカ人のオッサンだな」って。

 それが画面で見るとグワッとくるじゃないですか。すごいなって。昔ながらの言い方があるじゃないですか、役者らしくしていない方が本物の役者なんだよって。本物の役者は「俺はスターなんだ」って見せない。カジノでもそう。お金持ちって普通の格好をしてるんですよね。

 こないだも生徒役だった人たちに言われたんですが、「先生はずーっと、アル・パチーノがどうのこうのとか、リー・ストラスバーグのアクターズ・スタジオ(※)がどうだこうだとか、アメリカにメチャクチャかぶれてましたよね。革パンツにレイバンのサングラスで、フェアレディZでブワッと登場して」って。

 当時はパチーノやデ・ニーロの全盛期ですから。デ・ニーロ主演の「ディア・ハンター」(78年)とか、リアリティーを追求した、画面から生々しさや怖さが伝わってくるような映画が多かったんですよね。それをたまに見に行くと、打ちのめされたっていうか、「俺は何をやってんだ?」って感じました。そういうリアリティーを負けないように出していこうぜ、みたいな話は、食事の時によくしていましたね。(この項続く)

 ※ ストラスバーグは米国の演技指導者。メソッド演技を確立し、俳優学校アクターズ・スタジオでマーロン・ブランド、ポール・ニューマン、ジェームズ・ディーンら多くの俳優を育てた。俳優としては「ゴッドファーザーPART2」が代表作。

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