【キーンランドC】パドトロワ快速王!
「キーンランドC・G3」(26日、札幌)
大きな鼻差だった。パドトロワが1分7秒6のコースレコードで重賞連勝。最終戦を待たずして、サマースプリントシリーズ王座を確定させた。シリーズ創設から7年目にして、初の牡馬チャンプが誕生。昨年は2着に敗れたスプリンターズS(9月30日・中山)で、G1獲りを狙う。2着にダッシャーゴーゴー、3着にテイエムオオタカ。3連勝中のドリームバレンチノは7着に敗れた。
速くて強い。スピードをレコードタイムで証明した。パドトロワが昨年3着のリベンジを果たし、秋に弾みをつけた。
手綱を押さえたままハナを奪い、直線ではアンカツの豪腕がうなった。「バッタリと止まる馬じゃないから早めにスパートをかけた」。迫ってくるのは重賞3勝馬で1番人気のダッシャーゴーゴーだ。ゴールの瞬間は、まさに首の上げ下げ。鼻差の決着はパドトロワに軍配が上がった。「負けてると思った」と安藤勝が驚きの表情で苦笑いする一方で、2着に敗れた横山典は「えっ?勝ってないの?」と首をひねる。それほどの接戦だった。
前走のアイビスSDが函館から新潟へ遠征してV。また函館に戻り、札幌に向かう強行軍でも、出来の良さには自信があった。「前走より硬さはあったが、体が絞れた分スッと行けた」と鮫島師はホッとした表情を見せた。
最終戦を待たずしてサマースプリントシリーズ王者の座が確定した。「意識していた。勝てばグッとチャンスが近くなると思っていたけど」。そう言って指揮官がうなずき、主戦も「いい夏を過ごせた」と満足げにする。
この後は昨年2着に敗れたスプリンターズSに直行。「強い相手にも負けないぐらい成長している。何とかG1を」と鮫島師は力を込める。さらに昨年は輸送トラブルや、状態面がうまくかみ合わなかった香港スプリント(14着)への再挑戦も視野に入れる。「G1でいい結果を残して選ばれるようなら、“もう一度”と思っているよ」。重賞連勝の快進撃はまだ序章。国内、そして海外のG1奪取へと、夏のスプリント王が突き進む。