【神戸新聞杯】Vっちぎりゴールド完勝

 「神戸新聞杯・G2」(23日、阪神)

 2冠達成に向けて、皐月賞馬が貫禄のV発進だ‐。1番人気のゴールドシップが、向こう正面から早めに進出すると、直線も力強く伸びて2馬身半差の完勝。クラシック最終戦の菊花賞(10月21日・京都)制覇へ、大きく弾みをつけた。2着に8番人気のロードアクレイム、3着に2番人気のマウントシャスタが入り、3頭が本番への優先出走権を手にした。

 その顔は安堵(あんど)感に満ちていた。勝利騎手インタビューに現れた内田博は、まず「フーッ」と大きく息をついて勝利の余韻に浸った。「自分のなかでは負けられない気持ちがあった。G1を獲っている馬だし、このレースで力を見せないといけないと思っていた。いいステップで勝てたのは大きい」。皐月賞馬としてのプライド、1番人気の重圧。その全てを力に変えたメンバー唯一のG1馬が、秋初戦を最高の形で飾った。

 力が違った。スタートこそ出して行く格好になったが、道中はじっくりと後方を追走。「長くいい脚を使うので、早め早めに進出した」と鞍上は、3角手前からロングスパートを開始。外めから押しながらポジションを上げて行くと、4角では早くも先頭を射程圏内に捕らえた。あとは独壇場だ。右ステッキに応えて力強く伸びると、メンバー最速の上がり(3F34秒5)で、2着馬に2馬身半差の完勝。最後は流す余裕すら見せた。

 貫禄の勝利にも、須貝師は「いつになく緊張した。皐月賞馬の意地も見せないといけないし、ダービー2着馬も(先週のセントライト記念で)勝っていましたからね」と胸をなで下ろした。しかも3日間開催後の変則日程で、調整の難しさもあった。前日調整を普段の栗東坂路からCWに変えるなど「悩んで試行錯誤した」。愛馬がそれに最高の形で応えた。「内田騎手もこの馬のことを分かってくれている。強い競馬をしてくれた。これで胸を張って本番に行けます」と力を込めた。

 鞍上もクラシック最終戦に向けて「チャンスがある。と言うか、勝つところにいる馬だと思う。もうひとつタイトルを獲らせてあげたい」と、キッパリと2冠奪取を宣言。V発進で勢いに乗る“黄金の舟”が、2つ目の金メダルを目指して高らかに帆を揚げた。

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