「スプリンターズＳ・Ｇ１」（３０日、中山）

　サンカルロはスプリントＧ１での銀メダルが２回。今春の高松宮記念では首差で涙をのんだ。自慢の末脚で悲願のＧ１タイトル奪取に挑む。

　走破タイムと強さは別物との印象すら抱かせる超高速ターフだった今秋の中山開催も、最終週を迎える。加えて、先週の日曜は終日の降雨。開幕当初との比較で、多少なりとも時計を要する馬場で秋のＧ１開幕戦は行われる可能性が大きい。この舞台設定を喜ぶのがサンカルロだ。

　大久保洋師は２５日、「差し一辺倒の脚質だけに、高速馬場よりは時計がかかった方がいいね」とうなずく。高松宮記念（１１、１２年）での銀メダルが２回に、スプリンターズＳ（１０年）の銅メダルが１回。１分７秒７止まりの持ち時計からもスピードの絶対値が大きく問われる馬場状態では分が悪い一方で、総合力なら決して引けは取らない。

　前走のセントウルＳはまさかの１４着。「いつもは負けても、折り合いを欠いたとか前が詰まったとか原因がある。でも、前回は引っ掛かるところもありませんでした」と吉田豊は振り返る。それでも「当時は（調整過程で）夏負け気味だった部分はありますね」。秋の気配が色濃くなって迎える今回は体調も右肩上がり。１週前に美浦坂路での併せ馬で４Ｆ５３秒７‐３６秒７‐１２秒２と負荷をかける調教ができたことが、肉体的なダメージがないことを物語る。

　今年の高松宮記念は前残りの展開のなか、勝者カレンチャンを０秒８もしのぐ上がり３Ｆを駆使して首差の２着。「展開の助けがあれば」と師は期待を寄せる。悲願のＧ１初制覇へ、直線一気の末脚に全てを託す。