【スプリンターズS】カナロアG1初星
「スプリンターズS・G1」(9月30日、中山)
新電撃王の誕生だ。岩田騎乗の2番人気ロードカナロアが、JRAレコードに0秒2まで迫る1分6秒7の高速時計でG1初制覇。デビューから続いた1番人気の座こそ12戦目で譲ったが、国内スプリントG13連勝を狙った僚馬カレンチャンを3/4馬身差で退けた。香港スプリント・G1(12月9日・シャティン)への遠征プランも浮上。タイトルを手に、さらなる躍進を描く。なお、3着は9番人気ドリームバレンチノが入った。
ついに頂点に立った。2番人気のロードカナロアが、絶好調男のエスコートでG1初戴冠。コース&レースレコードを更新し、JRAレコード(99年アグネスワールド)に0秒2まで迫る1分6秒7のタイムを刻み、並み居るライバルをあっさりと蹴散らした。「強い馬が強いレースで勝った」と岩田は汗をぬぐう。
デビュー以来、12戦目にして初めて1番人気を譲った。道中は中団の外めで待機。同じ厩舎のカレンチャンを見ながら、じっくりと脚をためて直線を向く。先に抜け出しを図る僚馬に外から並びかけると、右ステッキ連打に応えて急坂でひと伸び。「(前の馬が)前半32秒台というペースで飛ばしてくれたのは好都合だった。最後もカレンチャンをいつでも抜かせるぐらいの手応えがあったし、あとは自分が落ち着いて追い出せば、結果がついてくると思った」と鞍上は快走を振り返る。
岩田自身も波に乗っていた。この日の中山9RではJRA年間100勝に到達。「まだ浜中君には負けている(2勝差)ので追いつきたい」と笑顔。今秋は牝馬3冠の快挙を目指すジェンティルドンナ、ダービー馬ディープブリランテと臨む大舞台も控えている。「今後も一戦一戦を大事に」と目下の勢いでG1ロードを席巻する構えだ。
安田師は「1番人気がカレンチャンで、カナロアが2番人気。何としても頑張らなきゃと思っていた」と管理馬のワンツーにホッとした表情。昨年のスプリンターズS、今春の高松宮記念(ともにカレンチャン)に続くVで、厩舎のスプリントG13連勝を達成した。「ひと夏を過ぎて、足腰がしっかりしましたね。前走を使ってグンと良くなっていたし、馬の状態には自信がありました」と期待通りの成長曲線を描く鹿毛に目を細めた。
今後は未定ながらも、カレンチャンとともに海外遠征プランも持ち上がっている。有力視されるのは当然、香港スプリントだ。「オーナーサイドと協議してからだが、海外も含めて前向きに考えたい」と指揮官。カナロアとはハワイ語で“海の神”。大海の向こうで待つ強敵を見据えて進撃する。