【凱旋門賞】強敵回避でオルフェV見えた

 「凱旋門賞・仏G1」(7日、ロンシャン)

 日本のエース・オルフェーヴル(牡4歳、栗東・池江)が出走する今週末の欧州最強馬決定戦に衝撃が走った。ドイツのケルン競馬場で伝染病(馬伝染性貧血)が発生。同競馬場で調教を進める昨年の覇者で、最大のライバル・デインドリーム(牝4歳、独国)が出走を断念した。29日に脚部不安でリタイアしたスノーフェアリー(牝5歳、英国)に続く有力馬の回避でオルフェーヴルの存在が、さらにクローズアップされそうだ。

 欧州伝統の一戦を5日後に控えた2日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。オルフェーヴルの最大のライバルと目されていたデインドリームが、連覇のかかる凱旋門賞への参戦を断念した。

 現地時間1日、ドイツのケルン競馬場で馬伝染性貧血が発生。日本では感染馬が発見されると、殺処分されるほどの重い伝染病だけに、発生後は周囲にいる馬の移動禁止の処置が取られる。そのケルン競馬場で調整を進めていたのが、昨年の覇者デインドリームだ。同馬も例外ではなく、同競馬場外への移動が不可能となり、出走を断念せざるを得なくなった。

 凱旋門賞制覇後に来日した昨年のジャパンCでは6着に敗れたが、日本からダービー馬ディープブリランテが挑戦した7月の英G1・キングジョージ6世&クイーンエリザベスSでVを決め、続く9月の独G1・バーデン大賞を連覇。欧州のブックメーカーでも、前哨戦のフォワ賞を制したオルフェーヴルと並ぶ1番人気に支持されていた。

 デインドリームは昨年の凱旋門賞制覇直前に、社台ファーム代表の吉田照哉氏が馬主権利の半分を購入。ジャパンC(11月25日・東京)を最後に日本で繁殖入りすることが既定路線となっていた。だが、日本では過去60日間、“正常な地域”にいることが入国のルールとなっており、ジャパンCへの参戦もほぼ不可能になってしまった。

 29日には10、11年のエリザベス女王杯を圧倒的な強さで制した、日本でもおなじみの英国の名牝スノーフェアリーが脚部不安で回避したばかり。相次ぐ有力馬のアクシデントにより、欧州の主要なブックメーカーのオッズでは、ついにオルフェーヴルが4・0倍で単独の1番人気に上がった。

 日を追うごとに日本のエースの存在感が増すなか、池江師は「きのう(回避の可能性が高くなったことを)聞きました。非常に残念です」と強敵のリタイアに無念の表情を見せた。チャンスが膨らんだのは事実だが、冷静に歴史的Vへの準備を進めている。

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