【秋華賞】池添ユアーズ超速デモ
「秋華賞・G1」(14日、京都)
クイーンSで古馬を撃破したアイムユアーズが10日、栗東から駆けつけた池添を背に美浦坂路で鋭い動きを披露した。自己最速となる4F49秒4の好タイムを記録し、ラスト1Fは11秒9の鋭さ。春は桜花賞3着、オークス4着だったが、ひと夏を越してのパワーアップに成功した。大幅な馬体増もそれを物語る。鞍上は先週の京都で土、月重賞制覇を達成し、JRA通算800勝も記録。勢いに乗るコンビが、3冠を狙うジェンティルドンナの打倒に意欲を燃やしている。
「日進月歩」‐。この言葉がピタリと当てはまるような追い切りだった。今春は桜花賞3着、オークス4着と善戦止まりだったアイムユアーズが、大きな進化を遂げて最後の1冠に挑む。「こちらの想像を上回る成長を見せてくれた。デビューしてからの成績もそうだが、自分が思うひとつ上をいってくれる」と手塚師は評価する。陣営の予想を、いい意味で裏切り続けてきた素質馬が、最終追い切りでも予想を上回る動きを披露した。
舞台は美浦坂路。2週続けて美浦へ駆けつけた池添を背に、坂路の自己最速となる4F49秒4‐35秒9‐11秒9の好タイムを記録した。「51秒ぐらいの指示だったが、それより速くなったね。ただ、無理して出したものではないし、具合がいい証拠でしょう」と池添は動きの良さに目を見張った。先週との比較でも「動きは素軽かったし、ここにきて状態はさらに良くなっている」と、抜群の動きに確かな手応えをつかんだようだ。
前走のクイーンSでは古馬を相手に完勝。好位から力でねじ伏せる強い勝ち方にも、初騎乗だった鞍上は「イメージよりも早く抜け出してしまった」と反省する。ただこれは、アイムユアーズのセールスポイントでもある、瞬発力がもたらしたもの。一瞬の脚があまりにも鋭く、結果として早仕掛けになってしまった。とはいえ、同時に能力の高さも実感した。「タイトルを獲れる馬だと思ったし、前回でこの馬のことは分かったから」。その教訓を踏まえ、前走以上のパフォーマンスを見せられると確信する。
先週末、池添は複雑な思いを抱きながらも、自らの任務を次々と遂行した。凱旋門賞では、宝塚記念までコンビを組み5冠を達成した“盟友”オルフェーヴルが2着に敗退。頂点まで、あと一歩に迫った走りに「あそこまでいったら勝ってほしかった」と振り返る。それに触発されたかのように、自身は6日のデイリー杯2歳Sをテイエムイナズマで勝ち、続く8日の京都大賞典も、メイショウカンパクで制して重賞2勝。そのレースでJRA通算800勝のメモリアルVも達成した。
ムードは最高潮だ。「いいリズムだよね」。ラスト1冠へ波に乗って挑む人馬が、2冠牝馬ジェンティルドンナの前に大きく立ちはだかる。