【秋華賞】岩田パートナーに最大級賛辞
「秋華賞・G1」(14日、京都)
岩田の執念がジェンティルドンナを牝馬3冠へと導いた。大接戦を鼻差で制し、史上4頭目の偉業を達成。主戦はウオッカ、ブエナビスタ級の能力と称賛。勲章を手に歴史的名牝への道を歩む。佐々木主浩氏が所有するヴィルシーナは桜花賞、オークスに続いての銀メダル。牡馬、牝馬を含めて、3冠レースでは史上初の同じ馬によるワンツー決着となった。
歴史的な名牝が誕生した。マッチレースとなったラスト、栄光へのゴールを目指すジェンティルドンナに、ヴィルシーナがしぶとく食らいつく。ただ、女王のプライドにかけて負けることはできなかった。鼻差で決着をつけた瞬間、史上4頭目の3冠牝馬に輝いた。
岩田は胸に秘めていた思いを打ち明けた。「勝つまでは言わないでおこうと思ったけど、ウオッカ、ブエナビスタに匹敵する。これから証明してほしい」。一時代を築いた2頭の背中を知る主戦は計り知れない可能性を感じていた。前半1000メートル通過が62秒2のスローペース、向正面でチェリーメドゥーサがまくる奇襲にも動じず、中団の外で仕掛けのタイミングを待つ。勝負どころでの反応はひと息だったが、懸命にムチを入れるとエンジンが全開になった。
能力を信じていた。「追うときにズブさを見せたが、オークスみたいな脚を使うというのが分かっていた」。当時は騎乗停止期間中で、鞍上には代役として川田がいた。「川田君が2冠目を獲ってくれたので、3冠が獲れた」と感謝をし「4冠、5冠と獲りたい」とさらなる躍進を誓った。
レース前の返し馬で、振り落とされるアクシデントもあった。ヒヤリとさせたが、手綱だけは離さなかった。「放馬をさせたら(競馬の)歴史がゴロッと変わるから」。右足首をひねったが、検査の結果、骨には異常はなかった。「捻挫です。痛さを忘れるほど、熱いレースができた」。勝つことに集中していた。
偉業を達成し、次なるステージへの意欲を口にした。「(凱旋門賞の)オルフェーヴルを見て、挑戦したいというのはある。もっとドシッとすれば、世界に通用する名牝になると思う」と目を輝かせた。今年のG15勝目を挙げた名手は、最高のパートナーとともにさらなる高みを目指す。