【菊花賞】ブリランテ2冠へ不安一走
「菊花賞・G1」(21日、京都)
ダービー馬が完璧な仕上がりだ。17日に東西トレセンで最終追い切りが行われた。栗東CWのディープブリランテは人馬の呼吸もピッタリ。文句のない内容で英国遠征帰りの不安を一蹴した。G13連勝、歴代1位タイ(05、06年武豊、07年安藤勝、11年池添)のJRA・G1年間6勝目を狙う岩田も動きを絶賛。2冠制覇へ寸分の乱れもない。なお、18日に出走馬および枠順が確定。馬券は19日に一部ウインズで前々日発売される。
ダービー馬が文句なしの態勢だ。派手なアクションこそなかったが、ディープブリランテが迫力満点の動きを見せた。岩田とともに栗東CWへ。スタンド前からゆっくりと発進すると、首をグッと下げて気合満点のフットワーク。鞍上がうまくなだめながら3角へ。人馬の呼吸はピッタリだ。
直線を向いてもリズムを崩すことなく、ゴール板をクリアした。タイムも6F80秒7‐37秒9‐12秒0と上々だ。「素晴らしかった。すでに日曜で仕上がっているが、息の入りも良かったし、悠々と走っていた」と主戦は想像以上の動きの良さに目を丸くする。その日曜は秋華賞当日。ジェンティルドンナで牝馬3冠を決めた朝も、コミュニケーションは欠かさなかった。「(ディープブリランテが)好きなんで。かけがえのない友達、戦友。分かち合える存在」と表現した。ダービー前も付きっ切りで調教をつけて頂点へと導いた。スタイルに変わりはない。
英G1のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(8着)では厚い壁に打ち砕かれたが、その貴重な経験は“チーム・ブリランテ”の結束を再び高めた。「馬も僕自身も得るものを得て帰ってきた。もう1回、日本でイチから挑戦したいという思いになった」と岩田が言えば、矢作師も「いろいろな経験をして精神的に強くなった。挑戦することはボクのモットーだからね」とうなずく。
天皇賞・秋への参戦もプランに上がったが「ダービーが終わった瞬間から、岩田とは菊花賞と決めていた。(栗東に)入厩したときは正直、厳しいかと思ったが、これだけ予定通りにこられる馬はそういない。それが能力なんだね」と寸分の乱れもなかった調整過程に満足そうにほほ笑んだ。
ダービー時と同様、今回も鞍上とは熱く意見を交わした。「お互いにハートが熱いからな。ただ彼は馬を愛してくれているのが分かるし、だからこそ信じられる。馬場へ出したら彼の感性に任せるだけ」と全幅の信頼を置く。そして「ボクにとっての宝物。調子の上がってきたときに使えるのは理想的だし、どんな競馬をするのか楽しみだね」と目を細めた。熱い絆で73年タケホープ以来、39年ぶり2頭目のダービー&菊花賞制覇(3冠馬は除く)に“挑戦”する。