【エ女王杯】イマージン悲願G1制覇へ

 「エリザベス女王杯・G1」(11日、京都)

 6歳馬フミノイマージンが、ビッグタイトル獲得に挑む。今夏の札幌記念で牡馬を相手に快勝すると、前走の京都大賞典も0秒1差の4着と力を示す好内容。武器である豪脚は、一線級の牡馬相手でも通用する力強さだ。コンビを組む太宰啓介騎手(33)=栗東・フリー=にとっては、デビュー15年目で迎えたG1初制覇の大チャンス。重賞4勝を挙げる“黄金タッグ”で、勢いに乗る3歳馬も強豪古馬もまとめて一刀両断にする。

 準備は整った。G3・3勝、G2・1勝の実績を携え、フミノイマージンが念願のG1初制覇に挑む。09年オークスでは11着、昨年のエリザベス女王杯で8着、今春のヴィクトリアマイルは15着と、これまではG1の厚い壁に阻まれてきたが、ここに来てムードは最高潮。担当の中井助手も「具合は前走よりも断然いい。使って一気に変わりました。体の張りとか、乗った感じの行きっぷりなんかも違ってきていますよ」と力が入る。

 今夏の札幌記念で、牡馬をねじ伏せて重賞Vを飾ったが「まだ全然、馬ができていない状態」での勝利。G1馬を含む歴戦の古馬相手のパフォーマンスだっただけに「改めて能力はすごいと思いました」と驚きを隠さない。前走の京都大賞典も「まだスイッチが入っていなくてギリギリ9割」という状態で0秒1差の4着。「タフな競馬だったし、次につながると思う」と、悲観の色はまったく見られない。

 1年前の“教訓”を生かした臨戦過程を踏んできた。昨年の女王杯は府中牝馬S(3着)をステップに臨み、後方から出走馬中3番目に速い、上がり3F34秒3の末脚を見せたが、8着まで押し上げるのが精いっぱい。「去年は1走足りませんでしたね。そのあとの愛知杯(V)がピークになりましたから」と振り返る。今年は7月末のクイーンSから始動して、この一戦に照準を合わせてきた。「使ってどんどん良くなるタイプですからね。今のところは順調ですよ」と力強くうなずく。

 3歳秋には右前脚の管骨を骨折。約1年間の休養を余儀なくされた。「骨りゅうを痛がったり、トモの筋肉も弱い部分がありましたが、あの休養でその辺もグッと良くなりましたね。体も大きくなって帰ってきました。今思えばタイミングがよかった気がします」。焦らずじっくりと休んだことが奏功。その後は着実にキャリアを積み重ね、6歳秋にしてようやく充実期を迎えた。

 「やっと良くなってきましたからね。3歳馬は強いですけど、一番分かってくれているジョッキーが乗ってくれますし、あとはどれくらいの脚が使えるか」。牡馬にもまれて力強さを増した豪脚。全ての経験や思いを力に変え、今度こそ歓喜のゴールテープを切ってみせる。

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