【エ女王杯】ヴィルシーナ悲願へ上昇!
「エリザベス女王杯・G1」(11日、京都)
もう2着はいらない。ヴィルシーナは7日、栗東坂路で単走追い。手綱を押さえたままの馬なりだったが、力強く駆け上がり、さらなる上昇ぶりをアピールした。3冠牝馬ジェンティルドンナはジャパンCに参戦。宿敵不在のここは譲れない。牝馬3冠全てで2着に敗れた悲運の3歳牝馬が、悲願のG1初制覇を誓う。なお、出走馬は8日に決定、枠順は9日の金曜日に確定する。
宿敵のいないここは譲れない。悲願のG1初制覇を狙うヴィルシーナは竹之下(レースは内田博)が騎乗し、栗東坂路で4F54秒5‐40秒0‐12秒7を馬なりでマーク。力強いフットワークで駆け上がると“やり過ぎず、軽過ぎず”の絶妙なさじ加減で負荷をかけられた。「先週に3頭併せでやっているし、精神的にも体力的にもできているので、きょうは最後の微調整。落ち着いているし問題ない」。動きを見守った友道師は満足げに話す。
ローズS、秋華賞、エリザベス女王杯のローテーションは予定通りだ。「秋は3戦と思ってローテを組んでいたし、秋華賞以上の出来だと思う。(秋華賞を)勝っていても、ここに使う予定だったから。先週はゴーサインを出しただけでスッと伸びたように、反応が良くなった」。上昇曲線を描く出来に胸を張った。
桜花賞、オークス、秋華賞の3冠レース全てで2着に敗れた。その勝ち馬は全て同じ。これまでに先着を許した牝馬は3冠馬ジェンティルドンナしかいない。あの馬さえいなければ‐。「正直そういう気持ちはありますね(笑)」。偽りのない言葉だろう。ただ、ラスト1冠を懸けた秋華賞はオークスの5馬身差から大幅に着差を詰めて、鼻差まで食い下がった。「ゴール前は力が入った。並ばれて駄目かなと思ったけど、そこから差し返してくる勝負根性を見せたから。改めてこの馬の力を感じた」とトレーナーは感心する。
激戦のあとでも反動は見られない。「無駄なことをしない。当歳から“お嬢ちゃま”って感じで、それはずっと変わらない。人の意図と反するようなことをしないし、ジョッキーが乗ったときに気合が乗るぐらい。競馬でだけ100の力を発揮するんだ」。類いまれな回復力は、絶妙なオンとオフの切り替えができているからこそだ。
オーナーは元メジャーリーガーの佐々木主浩氏。日米で22の背番号だったことに触れ、「“2”づくしだから何とかしたい」と“1”着を強く意識する。「3歳の代表として古馬相手にいい競馬をしてほしい。ここまで悔しい思いばかりしてきたし、今年最後のレースと思ってキッチリ仕上げた。G1のタイトルを獲らせてあげたい」。“時代が悪かった”とは言いたくない。今度こそ主役の座へ躍り出る。