「エリザベス女王杯・Ｇ１」（１１日、京都）

　過去５年で３勝を挙げている外国人ジョッキーに注目だ。ラシンティランテのクリストフ・ルメール騎手（３３）＝フランス＝は、リトルアマポーラで０８年のエリザベス女王杯を制覇。ミルコ・デムーロ騎手（３３）＝イタリア＝は、ピクシープリンセスとのコンビで挑む。両馬ともに１０００万下を勝ち上がったばかりの上がり馬。前者はジュベナイルフィリーズターフ・米Ｇ１でＢＣ初勝利を挙げ、後者は天皇賞・秋制覇と勢いに乗っている。今年も“世界の腕”に熱い視線が注がれる。なお、枠順は９日に確定する。

　ＢＣ優勝ジョッキーが来日。フランスからの刺客、ルメールが意気揚々と乗り込んできた。２日に米国・サンタアニタパーク競馬場で行われたＢＣジュベナイルフィリーズターフを、フロティラに騎乗して制したばかり。「ＢＣはこれまでに５回騎乗したけど、初めて勝ったんだ。自分のキャリアでまだ手にしていないもの。名誉なこと」。悲願達成に満面の笑みを見せる。

　日本でもおなじみの顔となった。０２年から１１年連続で短期騎手免許を取得し、これまでにＪＲＡで１７９勝（Ｇ１・４勝）を挙げる腕達者だ。０５年有馬記念がＪＲＡでのＧ１初勝利。ハーツクライを操り、それまで無敗だった３冠馬ディープインパクトを封じ込んだ美技は、競馬ファンに強烈なインパクトを与えた。

　エリザベス女王杯には０４年から１０年まで７年連続で騎乗。ここ５年を振り返ると、２・１・４・５着（昨年は騎乗なし）と全て掲示板に載る大活躍だ。印象的なのは、やはり０８年リトルアマポーラのＶだろう。「楽勝だったね。乗り味が良くて、レースもスムーズに運べた。４コーナーで“勝った”と思ったぐらい。反応がすごく良かった」。思い出深い１勝を懐かしそうにする。

　今年のエリザベス女王杯はラシンティランテとコンビを組む。近２走に騎乗していた福永が当日に武蔵野Ｓでストローハットに騎乗する先約があったため、陣営の“うまく折り合いをつけられるジョッキーを”というオーダーから指名された。水曜には追い切りに騎乗。「ムキになるところもなかったし、この様子ならレースでも折り合える。息の入りが良くて状態がいいと感じたし、コントロールしやすくて、すごくいい馬。レースは前に壁をつくって運びたい」と好感触をつかんだ。

　勝利を渇望する。何年たっても、その姿勢は変わらない。「数多く勝つこと。そしてビッグレースを勝つことが目標。人気のない馬で４着ならいいかもしれないけど、人気のある馬で３着に負けるようなことは駄目だよね」。フランスのＶ請負人が今秋も大暴れする。