【JC】ジェンティル斤量差で勝機あり

 「ジャパンC・G1」(25日、東京)

 ドリームマッチが実現する。府中の決戦の注目は凱旋門賞の再戦だけではない。史上初めて牡馬と牝馬の3冠馬が相まみえる。史上4頭目の3冠牝馬ジェンティルドンナは初めての古馬相手。しかも昨年、牡馬3冠を達成したオルフェーヴルが待ち受けているが、主戦の岩田は最大のチャンスと撃破へ意気込む。勢いか、プライドか。歴史的名勝負の予感が漂う。

 最強馬か、ニューヒロインか。史上初の牡馬と牝馬の3冠馬の対決で、ジェンティルドンナが世代交代を狙う。「あの馬はバケモノ」。ジェンティルの主戦・岩田は最大の敵をこう表現する。国内で8勝を挙げるオルフェーヴル。うち7戦で岩田は同じ時間を共有している。「オルフェのすごさはレースを一緒に乗っている者にしか分からない。宝塚記念なんて、あの馬は抑えながらピューンって行った」とあきれたような表情を見せる。

 ただ、強さは認めても白旗を揚げるつもりはない。パートナーの強さを最大限に引き出せれば勝機があるとにらむ。「今回は4キロの斤量差があるし、オルフェに勝てるとしたら今回しかないと思っている。四位さんがオペラオーに出し抜けを食らわしたようなイメージで。バケモノに立ち向かっていくのは楽しみ」。描くのは01年の天皇賞・秋。テイエムオペラオーが抜け出したところを、4、5頭分離れた外からアグネスデジタルが差し切ったシーン。“バケモノ退治”の策を練る。

 秋華賞後は10日ほど放牧へ。完全に疲れが取れたことで、栗東に帰還後は予定通りに攻め馬を積めた。「オークスのあとが一番こたえていた。それと比べれば今回は馬がしっかりしたのか、距離が短かったからなのか、ダメージがなかった」と日迫助手は満足げ。1週前追いの時計が予定よりも遅くなったため、18日には珍しくコース(栗東CWで5F75秒3‐12秒8)で微調整が加えられた。「そのせいか、体はすっきりとして見える。馬場でやると絞れるのかな。前走よりも絞れるだろうし、体が軽くなった方が力を出せる」と仕上げ人は出来に胸を張る。

 追い切り前日の20日は栗東坂路を2本駆け上がった。感触を確かめた井上助手は「変わらずいいですよ。食べるものが実になっているから、今は“体が減らないようにしよう”という努力をしなくていい。貫禄が出ている」と成長ぶりに目を細めた。

 陣営は口をそろえる。「今回は挑戦者」と。ただ、その壁を越えれば3冠牝馬の称号がひときわ輝きを増すことだろう。「勝てば真の女王になれる」。決意を口にした岩田が4冠へとエスコートする。

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