【JC】オルフェ怒りの銀「後味悪い」
「ジャパンC・G1」(25日、東京)
鼻差で凱旋Vはならなかった。凱旋門賞2着馬オルフェーヴルの国内復帰戦は2着。直線で勝ったジェンティルドンナに馬体をぶつけられながらも意地を見せて伸びたが、わずかに栄冠には届かなかった。コンビ再結成だった池添も「後味が悪いですね」と複雑な表情。オーナーサイドは有馬記念(12月23日・中山)に向かう可能性を示唆しており、5冠馬はグランプリ連覇で復権を目指すことになりそうだ。
どうしても納得がいかなかった。検量室で池添は池江師と並んで、正面からのパトロールビデオを何度も見返した。裁決委員に2度も呼ばれて“事情聴取”を受けた。午後4時3分。確定のランプがともったあとも、ワールドスーパージョッキーズシリーズの表彰式が始まる午後4時半前までモニターの前を動かなかった。自らの気持ちを静めるように、食い入るようにレース映像を見つめた。
「あの判定はどうかと思う。着差が頭差とか、首差ならともかく鼻差ですから。着差が着差だけに、あれがなければ…と思ってしまう。後味は悪いですね」。大外枠から発進し、後方を追走。3角過ぎから外めを押し上げて、迎えた最後の直線だった。鞍上が「3回か、4回」と話すように、ジェンティルドンナに内から馬体をぶつけられた。「バランスを崩して手前を変えた」。一度は失速し、そこから必死に立て直して伸びてきたが、わずかに及ばなかった。
「日本に帰ってきて、僕のもとに(手綱が)戻ってきて、みんなが思っている結果を出さないといけないと思っていた。悔しい気持ちでいっぱいです」と唇をかむ。宝塚記念以来のタッグ。道中は行きたがるなど「やはり乗り難しい馬」と5冠を制したころと変わらない背中の感触があった。「凱旋門賞帰りのこの短い時間のなかで、馬自身はあそこまで頑張ってくれていますからね」。相棒との最高の時間を勝利で飾れなかったことだけが心残りだった。
池江師も「きょうはよく頑張ったと褒めたい。謙一君(池添)も上手に乗ってくれた」と人馬をたたえたが、気持ちは鞍上と同じだ。「JRAの判定だし、僕が決めることじゃないけど、内がガラ空きで、いくらでもスペースがあったのに、オルフェと謙一君のスペースに入る必要があったのかという気がする」と複雑な表情を浮かべた。
サンデーレーシングの吉田俊介代表は「まだ話し合っていないから分からないが、有馬記念に出走する可能性はあると思いますよ」と連覇のかかるグランプリへの参戦を示唆。来年も現役を続行する方向だけに、ジェンティルとは海外で再戦する可能性もある。師も「次が実現するなら、お互いにいい状態で対戦したい」と再戦を熱望。まずは味わった無念と悔しさを力に変え、年末の大一番で真の実力を証明する。