【JCダート】エスポ再タッグ豊と奪冠だ
「ジャパンCダート・G1」(12月2日、阪神)
再び、ダート界の頂点へ。前走の南部杯を圧勝。09年覇者のエスポワールシチーが武豊を背にG1・8勝目を狙う。主戦の佐藤哲が落馬負傷のため、フェブラリーS以来の2度目のコンビ結成となった。鞍上はマイルCSで2年ぶりにG1制覇を達成。名手と衰え知らずの7歳馬が大舞台で脚光を浴びる。なお、29日に出走馬と枠順が確定。エスポワールシチーは2枠4番に入った。馬券は12月1日に前日発売される。
武豊にとっては、予期せぬエスポワールシチーへの騎乗依頼だった。主戦の佐藤哲が24日の京都10Rで落馬負傷したため、本番で騎乗できなくなった。バトンを受けて「哲ちゃんも乗りたかったと思う。大きなケガだから心配だね。そういうことをしっかりと胸に刻んでレースに挑みたい」と自身を奮い立たせる。単なる代役ではない。特別な思いを抱いて大一番に臨む。
コンビを組むのは、今年のフェブラリーS以来2度目。前回もレースの2週前に負傷した佐藤哲から乗り代わった。当時の様子を振り返る。「いい馬だなと感じていた。初めてだったし、勉強して臨んだけど、少し悔いが残るレースだった」。抜群の手応えで直線を迎えたが、少しごちゃつくシーンがあり5着。「抜け出すのをアテにしていたトランセンドが意外にもたついた。前があけば、という内容だけに悔しい」。レース後に唇をかむ姿が“不完全燃焼”を表していた。
逃げ&先行タイプだが、発馬は決して速い部類ではない。安達師は「フェブラリーSのときはテン乗りでかわいそうだった。それでもスタートが速かった。もともとゲートのうまいジョッキーだけど、“さすが”と思いましたからね」と、天才ジョッキーの感性から繰り出されるスタートセンスに期待を寄せる。
手綱越しに癖を把握した武豊が、リベンジに力を込める。「今度は初めてじゃない。乗って感じるところがあったし、前回とは違う」と胸を張った。「いいメンバーがそろっているけど、これだけの実績がある馬。堂々と乗りたい。長年ダート界のトップに君臨しているんだから、力を出し切るだけです」と、パートナーに全幅の信頼を寄せる。
統一ダートG1では歴代最多の32勝、今年で13回目を迎えるJCダートでも単独トップの4勝を誇る武豊。父ゴールドアリュールとのコンビでもダートG1・4勝を挙げている。負傷した主戦の思いを乗せて‐。前走の南部杯で健在ぶりをアピールした09年のチャンピオンが、名手に導かれて王座奪回を目指す。