【朝日杯FS】コディーノ2歳覇者へ
「朝日杯FS・G1」(16日、中山)
2歳王者奪取へ向けて、一点の曇りもない。3戦3勝のコディーノは12日、美浦Wで3頭併せの最終リハ。主戦の横山典を背に抜群の反応を見せ、楽々と最先着を果たした。ジョッキーがVへ自信の表情を浮かべれば、藤沢和師も06年ヴィクトリアマイル(ダンスインザムード)以来のG1制覇へ手応えは十分。関東の期待馬が無敗で世代の頂点に上り詰め、来年のクラシックへ夢をつなげていく。
鞍上との呼吸を乱すことなく、滑らかにギアチェンジ。無敗馬コディーノが誇る極上のバネに横山典も酔いしれる。「動きが他馬とは違う」と絶賛する抜群の瞬発力を、最終追い切りでも存分に披露。万全の態勢をアピールした。
舞台は美浦W。バンスタンウォルツ(4歳500万下)にホーカーテンペスト(3歳1000万下)、そして主役がそれぞれ2馬身差で続く隊列でのスタート。直線ではインに潜り、そこからは先輩2頭を完全に“見下ろし”の形に。馬なりのままホーカーに半馬身、バンスタンには2馬身先着を果たした。5F66秒6‐38秒3‐12秒6と数字自体に派手さはないが、一瞬の切れ味はやはり一流馬のそれだ。
「順調。相変わらず元気がいい。乗っていて危ないくらいだよ。まあ“木馬”じゃ走らないからな」と独特の言い回しで出来の良さを伝える横山典。「でも、昨日よりはおとなしいね。この追い切りでガス抜きもできるはず。心配するところは何もないよ。あとはケガなく、無事にいってほしい。競馬が楽しみ」と本番を心待ちにする。
圧巻の走りで突き進んできた。札幌2歳Sは好位から楽に突き抜け、東スポ杯2歳Sは1分46秒0のレコードV。「レースを見れば分かるでしょ。センスがいい。前走はあれだけ上がりの速い競馬だったのに、息が乱れていなかった」とスケールの大きさに舌を巻く。「関東から久々に出てきたクラシックを意識させる馬」。見据えるのは来春の大舞台。出世レースで連勝を決めており、2歳王者が通過点と思えるほど、資質は高い。
数々の名馬にまたがってきた44歳は今、トークによるパフォーマンスを好まない。「走ると思って走らなかった馬もいる。そういう経験をたくさんすれば、気軽に“勝てる”とは言えなくなる。まあ、若いころはよく“吹いて”いたけど」。競馬の難しさを知るからこそ、発言は常に慎重だ。
その横山典が自信に満ちた表情を浮かべながら口を開く。「コース?初の中山?問題ないよ。まあ、何か不安な点を探したいんだろうけどね。不安はない。あとはしっかりとオレが仕事をするだけ」。円熟期を迎えた名手は、頂点を完全に視界にとらえている。