【有馬記念】ゴールド筋肉隆々デモ
「有馬記念・G1」(23日、中山)
2冠馬にグランプリ仕様の仕上がりが施された。19日、ゴールドシップは栗東坂路で併せ馬。雪の舞う荒れたコンディションをものともせずに、力強い脚さばきで駆け上がった。ステイヤー仕様だった菊花賞時とは比べものにならない筋肉質のボディーに変化。パワーアップした走りで初対決となる古馬を撃破し、3冠目をつかみ取る。なお、出走馬と枠順はきょう確定する。有馬記念は中山10R
進化した走りを見せつけた。朝一番の吹雪のなか、芦毛の2冠馬ゴールドシップは、ジャスタウェイ(3歳オープン)と栗東坂路へ。最終追い切りは馬体を並べる形でスタートすると、力のいる馬場も関係なく、両前脚で力強くウッドチップをかき込み後脚で豪快に地面を蹴る。ラストは右ステッキが計7発入るハードトレ。その“猛ゲキ”に応えて、4F54秒5‐40秒2‐13秒8をマークして並入したが、首を使って最後までしっかりと駆け上がった。
前走の菊花賞から約2カ月ぶりの一戦。ケイコをつけた北村助手は、レース間隔があいたことを考慮し「いい意味でピリッとさせるために、ステッキを入れました」と意図を説明する。「時計もそれなりだと思うし、馬場が重いなか、この馬がしまい13秒台ならいいと思う」と好ジャッジ。須貝師も「息をつくることを重点にした調整。これで十分だと思うよ」と合格点を与えた。
“有馬記念仕様”に仕上げてきた。菊花賞後は滋賀県の吉沢ステーブルWESTに短期放牧へ。最大で前走から20キロ馬体重を増やした。帰厩後は栗東CWでの調整を積極的に取り入れ、イチから体をつくり直した。
「菊の場合は3000メートルを走るので、ステイヤーの薄いつくり方をした。今回は2500メートルだし、力のいる中山の馬場。そういう舞台を走れるようにつくってきた。胸前の筋肉がついて、パワーアップした」。師は思惑通りの仕上がりに満面の笑みを浮かべる。
マラソンランナーだった前走時から、中距離ランナーへと肉体改造に成功。「僕のメニューに順応してついてきてくれるから、そういうふうにつくれる。馬が偉いよね」と手放しで褒めたたえる。
初の古馬との激突。主役の1頭として臨む大一番だが、菊花賞のような重圧はない。「前走は皐月賞馬として恥ずかしくない競馬を、と思う部分があったけど、今回は古馬が相手。人気を背負っていても、あくまで挑戦者の立場やから」と平常心で臨む。
G1・3勝、JRA史上最速となる通算100勝達成など、大躍進を遂げた12年の須貝厩舎。19日現在、勝率では1割7分3厘でJRA全国トップに立っている。その屋台骨を支えた2冠馬が、暮れのグランプリで新たな栄冠をつかみとる。