【有馬記念】ルーラーを解き放つ
「有馬記念・G1」(23日、中山)
決戦2日前に決断が下された。ルーラーシップの出遅れ対策として“尾つりロープ”(尾の根っこにロープを通して鞍とつなぐ馬具)を中間のゲート練習では取り入れていたが、レースでは使用しないことが決定した。
角居師は説明する。「世界中を見渡してもその効果で走った(=レース結果が良かった)という実績がないんです。ゲートがおとなしくても能力を発揮できないのでは意味がない。強い矯正が影響して、走る能力を失うのならやめようという判断になりました」。枠は(5)枠(9)番と、残念ながら希望する後入れの偶数枠ではなかったが、馬具に頼ることなく馬の“地力”を信頼することをトレーナーは決意した。
21日朝は栗東坂路で4F56秒0‐41秒2‐12秒9を馬なりで計時。輸送前日に追い切り並みの負荷をかけた。「絞る意図ではない。しまいの反応と仕上げを確認したいということです。担当者もいい感触をつかんでいた」と山田助手は話す。土曜の雨予報にも「ウチのは雨も得意」と不安がないことを強調した。
「ゲートがライバル」。そう話す角居師はただ指をくわえてゲートインまで待つ心境ではないようだ。「(レース当日は)ゲート裏まで行きます。尻を触るぐらいですかね。中でどういう格好をするか。それによって変わってくると思いますが、見て決めたい。やれることは何でもしておきたいから」。仕上げが万全なら、力も上。あとは人事を尽くして天命を待つ。