【有馬記念】ゴールド芦毛の怪物誕生

 「有馬記念・G1」(23日、中山)

 21世紀の“芦毛の怪物”が誕生した。G1馬7頭が集結したグランプリを制したのは、古馬と初対決ながら1番人気に推された2冠馬ゴールドシップ。須貝尚介調教師(46)は、82年の有馬記念を制した父・彦三氏(71)との親子制覇を達成した。3歳馬の勝利は3年連続17度目。この勝利で年度代表馬候補にも浮上した。2013年は国内の王道路線を歩み、新・芦毛伝説をつくり上げていく。

 声がかれた。「シップ!シップ!」。最後の直線、須貝師はゴールドシップを後押しするように何度も、何度も声を張り上げた。愛馬が先頭でゴール板を駆け抜けると「ヨシッ!」と、短い言葉に喜びを詰め込んだ。初めての古馬との対戦。堂々と1番人気に応えた師の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

 「本当に感無量です。ゴールドシップと内田くんがよく頑張ってくれた。応援してくれたファンと、この馬に関わってくれたみなさんに感謝しています」

 全てが圧巻だった。スタートでダッシュがつかず、馬群から3馬身ほど後方に置かれた。大きく出遅れたルーラーシップにもかわされると、向正面では最後方まで下がった。そんな状況下でも「あそこでちょうどいいと思った。内田くんが、中山の、有馬の乗り方をしてくれていると思った」と、人馬への信頼は揺らぐことはなかった。

 向正面から鞍上が必死に手綱をしごいたが、なかなかエンジンがかからない。3角で大外に持ち出すとようやく闘志に点火。まくり気味に進出したが、最終コーナーではまだ10番手と圏外とも言える位置だった。それでも直線で右ステッキが入ると、一気に加速してメンバー最速となる上がり3F34秒9の末脚でごぼう抜き。終わってみれば1馬身半差の完勝だった。

 初重賞&G1制覇、史上最速通算100勝を達成するなど、ゴールドシップとともに飛躍の年となった須貝師。父・彦三元調教師との史上3組目のグランプリ親子制覇も成し遂げた。原動力は厩舎訓“愛情、責任、感謝”だ。愛を持って馬に接し、責任を持って世話をし、周囲への感謝を忘れない。「みなさんのサンタクロースになれてよかった」。クリスマスイブ前日の決戦。愛馬の赤と白の勝負服にかけてファンへの感謝の言葉を口にするのは、まさにそんな思いからだ。

 記録ずくめの一年を終え、さらに飛躍を目指す来年は、G1・3勝馬とともに国内の王道路線を歩む。「大前提として天皇賞・春、宝塚記念を考えている。凱旋門賞もドバイもあるが、まだ4歳。まずは日本で走らせて海外は再来年視野に入れていきたい。古馬として、G1ホースとして恥ずかしくない競馬をしていってほしい」。新たに誕生した21世紀の芦毛の怪物。輝ける未来への航海はまだ始まったばかりだ。

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