【中山金杯】タッチミー念願初タイトル
「中山金杯・G3」(5日、中山)
念願の初タイトル獲得だ。2番人気タッチミーノットがトップハンデタイの57キロを克服し、重賞での惜敗続きにようやくピリオドを打った。横山典は現役最多となる、このレース4勝目。JRA重賞通算140勝を達成し、ダブルでの喜びとなった。4番人気アドマイヤタイシが3戦連続の重賞2着で、1番人気のジャスタウェイは猛追及ばず3着に敗れた。
必死になって手綱を動かした。これまで重賞に8回挑戦し、2着2回に3着1回。タッチミーノットにぜひともタイトルを‐。強い思いを胸に挑んだ横山典が、最高の騎乗で勝利をもぎ取った。
5、6番手の内でしっかり脚をためて、勝負どころでスムーズに外へと誘導。ほかの誰よりも中山を熟知する名手は、完璧にエスコート役を務めた。「気分がいいね。ゴーサインを出してからいい伸びを見せてくれる馬。きょうもいつも通り」。表彰式では得意のフライングディスマウントを披露し、観客に向けて両方のこぶしを突き上げるなど派手なパフォーマンスで喜びを表現した。
昨春のメトロポリタンS(2着)で初めてコンビを組み、素質を絶賛。「走るね。この馬でG1に行くか」と笑いながら話すほど能力にほれ込んだ。今回で6戦連続の騎乗。年始の名物レースで勝ち切れない悔しさ、もどかしさを豪快に吹き飛ばした。この勝利で自身のJRA重賞通算140勝を達成。「よく勝ってきたね」と最高のスタートに自然と表情が緩む。
「よかった。そのひと言に尽きる」としみじみ語ったのは柴崎師。地方から再転入の10年春に預かり、無理をせずにじっくりと育てた。7歳にしてたどり着いた重賞Vのゴール。「直線に向いたときに“やってくれる”と。いつかは重賞を勝ってくれると思っていたけどね」とかみしめる。惜敗続きに涙をのんだ昨年とは違う。勝ち運を引き寄せた実力馬が、13年を笑みの絶えない年にしてみせる。