【共同通信杯】ペガスター重賞初制覇
「共同通信杯・G3」(10日・東京)
ベテランの腕がさえ渡った。折り合いに難を残す4番人気のメイケイペガスターを初コンビの横山典が完璧に御してV。1分46秒0のレースレコードで初のタイトル奪取を決めた。1馬身半差の2着には朝日杯FS3着馬で2番人気のゴットフリート。伏兵の9番人気マイネルストラーノが3着に入り、出遅れが響いた1番人気のラウンドワールドは4着に敗れた。
きさらぎ賞のタマモベストプレイに続き、今週もフジキセキ産駒が決めた。積極策から直線半ばで抜け出したメイケイペガスターがライバルを一蹴。クラシックロードへ大きく踏み出した。
デビュー戦で圧巻のVを決めながら、1番人気に推された続くデイリー杯2歳Sでは折り合いを欠いて11着に大敗。3着に巻き返した前走で進境はうかがえたとはいえ、陣営は若干の不安を抱いていた。それだけに木原師は「いい内容だったねえ。折り合いもついて、今までになくいい競馬だった。横山くんがうまく乗ってくれた。本当に良かった」と夢見心地の表情で名手を絶賛した。
ここで駄目なら皐月賞をあきらめ、マイル路線へ向かう可能性が大きかった。正念場とも言える一戦で手綱を任された横山典だったが、数多くの修羅場をくぐってきたベテランに抜かりはない。「若い馬で折り合いが大変だと思ったので、返し馬を丁寧にやったんだ」。その言葉通り、返し馬では外ラチ沿いをゆっくりと歩かせ、落ち着かせることに専念した。
好スタートからいったん下げたが、二の脚がつくとスッと2番手で折り合いをつけた。直線に向くと右ステッキ一発でゴーサイン。逃げるマイネルマエストロを捕らえ、必死に迫るゴットフリートを寄せ付けず、初の重賞タイトルを手にした。「考えていた通り。なだめながら乗れたのでいい感じで伸びてくれた。もう少しテンションが下がってくれば、もっといい馬になるよ」。課題を挙げつつも、鞍上は将来性に太鼓判を押した。
今後について木原師は「全て未定」としたが、大きな課題をクリアして、クラシック出走へ大きく前進したことは確かだ。ここを制したミスターシービー、ナリタブライアンが3冠馬に輝き、昨年の覇者ゴールドシップも2冠馬となった。名馬への登竜門となる一戦をレースレコードで制し、未来は大きく広がった。