【阪急杯】カナロア世界の末脚見せた!
「阪急杯・G3」(24日、阪神)
これが“世界”を制した貫禄だ。断然の1番人気に支持されたロードカナロアが5番手追走から直線で力強く抜け出し、2着マジンプロスパーに3/4馬身差をつけて13年初戦をVで決めた。昨年のスプリンターズS、香港スプリントに続き短距離G1・3連覇がかかる次戦の高松宮記念(3月24日・中京)は、昨年3着に敗れた一戦。今年は横綱相撲を演じるつもりだ。
守りには入らない。攻め抜くのみ‐。最後の直線、ファンの熱い視線がロードカナロアの誇りに火をつけた。スプリンターの聖地とも言える香港・シャティンのスタンドを揺るがせた、あの炎のような末脚がうなりを上げる。たとえ前哨戦であっても負けることは許されない立場。香港スプリントで世界の頂点を極めたプライドと一緒に、六甲おろしを切り裂いた。
「今年は負けるわけにはいかないので、最初のレースを勝利で飾れて良かった。これでまた次が楽しみになりました」。勝つことだけが王者の証明。そう自らを追い込んで、岩田はこの一戦に臨んでいた。世界の最高峰を極めたチャンプと歩む2013年は、重い1年になる。だから、最高の結果を得てもなお、笑みを浮かべることはない。
スタートを決めてスッと前へ。そして無理なく5番手に収まる。4角手前で1度目のGOサインを送り接近。先頭に立っていたオリービンを視界にとらえると、ひと呼吸置いてから抜け出した。デビュー3戦目に2着に敗れている7F戦。しかも斤量は58キロ。だがカナロアは、全ての課題を軽々とはね返してみせた。
「少し仕掛けるのが早過ぎたと思ったが、自信を持って最後まで頑張ってくれた。どこからでもレースができる。完成されつつあるのは確か」。進化を続けるパートナーを岩田はこうたたえる。また、出張先の小倉でVを確認した安田師は「中京の1200メートルはタフなコース。それを踏まえて阪神の1400メートルを使ったのですが、自信を持って送り出せますね」と、高松宮記念を見据えた。
このあとは、昨年1番人気で3着と苦杯をなめた舞台へかじを切る。忘れ物を取りに3・24へ。世界王者となったカナロアは、桶狭間でも横綱相撲を演じる。