戸崎圭、中央デビュー週で重賞Vへ
3月になり中央競馬に新しい顔がそろう。一番の注目はもちろん、念願がかなって大井から移籍する戸崎圭太騎手(32)=美浦・田島俊=だ。地方所属としてのラストデーとなった2月28日は、川崎3Rで有終V。さらに、地方出身騎手として初めてJRAへ移籍し偉大な足跡を残した“パイオニア”安藤勝己元騎手(52)からは激励を受けた。中央デビュー週から、弥生賞のサトノネプチューンを筆頭に土日で18頭と騎乗依頼が殺到。新天地での飛躍が楽しみだ。
98年4月12日の初騎乗初勝利から始まった、地方所属騎手としてのキャリア。そのラストデーでも、戸崎圭は勝負にこだわる姿勢を打ち出した。川崎3Rを逃げ切り有終V。勝利数を2332勝に伸ばした。しかしその喜びよりも、通算1万5166戦目、最後の騎乗となった11Rで大井の先輩・的場文を追い越すことができず2着に敗れたことを残念がった。「終わった、というよりも悔しい」と唇をかみしめて、あふれる闘争心をのぞかせた。
偉大なパイオニアの背中を追う。この日は“地方から中央へ”の道筋をつくった安藤勝己元騎手が、自身の壮行イベントに参加した。「中央に行っても頑張って。でも僕よりは活躍しないで」とジョーク交じりにエールを贈られると、「アンカツさんがJRAへの道を切り開いてくれたおかげです」と先駆者に頭を下げ、刻一刻と迫る中央デビューの日を見据えた。
今週末の中山では18頭がスタンバイ。次週以降も続々と有力馬の騎乗依頼が舞い込んでおり、高松宮記念(24日・中京)ではフィフスペトルとのコンビで、中央所属騎手としてのG1初挑戦も決定した。「最初に勝ちたいG1です。最初に乗せてもらうG1なので」と大舞台へ胸を躍らせる。
結婚して10年、誰よりもそばで見守ってきた麻衣子夫人は「これからがまたスタートライン。いい環境で乗ってもらえるようにしたい」とサポートを誓う。これを受けて「初心を忘れずに、感謝の気持ちを込めて乗っていこうと思っている」と口元を結んだ。「最大限に馬の力を発揮できるように、一鞍一鞍にまたがっていきたい」。地方で培ってきたものをJRAでも発揮し、大きな飛躍を目指す。