【桜花賞】雨~マンボ道悪の仁川で踊る
「桜花賞・G1」(7日、阪神)
ポツリ、ポツリと雨が落ち始めた6日の夜明け前、メイショウマンボが小気味いいテンポで湿った栗東坂路の馬場を踏み締めた。前には僚馬、直後にはG1馬カレンブラックヒル。プレッシャーを受ける形になっても、奏でる蹄音に狂いは生まれない。ゴールまで一定のリズムを崩さず、ラスト1Fは16秒5を刻んで最終調整を打ち上げた。
「いいですよ。追い切ったあともリラックスしていますね。力みがないし、このところずっといい感じだと思います」と騎乗した今村助手は声を弾ませる。レース前にテンションが上がらないこと。それは、若い牝馬にとって簡単なことではない。事実として、マンボ自身も阪神JFの時には気持ちが乗り過ぎてしまい、10着と空回りに終わっている。あれから4カ月。経験を積み重ねた少女は、大人びた女性へと成長を遂げた。
落ち着きは、すなわちレースへの乗りやすさにつながる。「折り合いがつくので、どんな競馬でもできるはず。雨についてはみんな同じ条件になるわけですが、大外ですし馬場のいいところを選んで行けるでしょう。楽しみ」と、今村助手は期待の言葉で結んだ。長い直線はマンボのビクトリーロード。桜の舞う大外を、豪脚で突き抜ける。