【皐月賞】ロゴタイプ“兄”の力でVだ

 「皐月賞・G1」(14日、中山)

 今週は“兄ミルコ”の番だ。スプリングSで好発進を決め、牡馬クラシック初戦に主役として挑む2歳チャンピオンのロゴタイプが10日、美浦Wで追い切りを行った。単走、馬なりで軽めの内容となったが、田中剛師は出来の良さに胸を張る。鞍上は皐月賞5戦2勝と相性抜群のミルコ・デムーロ。桜花賞の兄弟対決で弟クリスチャンとのたたき合いで敗れた兄が、得意とするレースで頂点を狙う。なお、きょう出走馬と枠順が確定、金曜日に前々日発売が行われる

 “静”の姿勢を貫いた。美浦Wで行われた注目のロゴタイプの追い切りは、単走、馬なりと見た目は単調な内容で終わった。マークした時計も5F72秒5‐42秒8‐13秒6。大舞台を前にしては遅い数字で、不安視する声も聞こえてきそうな凡庸なもの。それでも「折り合いに専念して、しまいは流すようにと指示。うまくできたと思います」。土曜の障害G1・中山グランドJにも3頭を送り出し、土、日G1ダブル制覇をもくろむ田中剛に迷いは見られない。

 速い時計を必要としないタイプで、これまでの追い切りで最速だったのは、デビュー前の函館Wで記録した5F66秒8。主役として挑む牡馬クラシック初戦だからと言って変化を求めることなく、普段の調整法を貫き通した。「時計は馬場の外を回ってのものでしたからね。先週(美浦W、5F69秒0‐12秒1)の動きは良かったし、きょうの追い切り後もいい雰囲気です」と指揮官は体調の良さに自信を持つ。

 弟からのバトンリレーで栄冠を目指す。今季初戦の前走スプリングSはM・デムーロの騎手免許発行期間の関係で、弟のクリスチャンが代打で騎乗して完勝。「弟と話したけど、“とてもいい馬で本番も自分が乗りたい”と言っていたよ」と昨年暮れの朝日杯でVに導いた兄ミルコ。今回は未知となる10F戦。「クレバーホース!とても賢いし、レースを分かっている。何も言うことはないし、距離にも対応できる」と相棒を信頼し、全く心配はしていない。

 M・デムーロと言えば皐月賞ハンターとして知られる。これまで5戦して2勝2着1回。03年ネオユニヴァース、04年ダイワメジャーを勝利に導いており、勝てば同レース最多タイの3勝目となる。「皐月賞は2回勝たせてもらっているけど、いい馬に乗せてもらっているからね」と謙そんしつつ、「中山コースはトリッキー。4角でいい位置にいないと、上り坂で脚を伸ばすのが難しい」と攻略のポイントはしっかり押さえている。

 先週の桜花賞はレッドオーヴァルに騎乗して2着。弟クリスチャン騎乗のアユサンの後じんを拝しただけに「兄としては弟の(JRA)G1初制覇はうれしいが、兄弟と言ってもライバルだからね。今回は自分が1着になりたい」と、インパラトールに騎乗する弟へのリベンジに燃える。兄の威厳を見せつけて、2歳牡馬王者を鮮やかに勝利へエスコートする。

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