【天皇賞】怪物ゴールドさらに進化
「天皇賞(春)・G1」(28日、京都)
“21世紀の芦毛の怪物”が、新たな勲章をもぎ取る。G1・3勝馬ゴールドシップが24日、栗東・芝で力強いフットワークを披露。大一番に向けて好気配を漂わせた。母の父は91、92年の覇者メジロマックイーン。名ステイヤーの血を、伝統の舞台で誇示する構えだ。25日に枠順が確定。馬券は金曜日に前々日発売が行われる。
新緑の映える淀で、新・芦毛伝説の第2幕が上がる。昨年、G1・3勝を挙げて国内最強の一角にのし上がったゴールドシップ。その力を誇示すべく、伝統の一戦に挑む。「今回は今までで3本の指に入る仕上がり。菊花賞や有馬記念とも遜色はない」と須貝師は期待感をにじませた。
最終リハはシュプリームギフト(5歳オープン)との併せ馬。予定されていた栗東CWではなく、直前に馬場を確かめた指揮官の指示で、急きょ皐月賞1週前以来となる芝コースに変更となった。序盤は2馬身ほど前に見る形から、3角手前で僚馬に並びかける。直線に入ると、鞍上の左ステッキ1発でギアチェンジ。右ステッキ連打で突き放した。
パートナーに2馬身先着。6F76秒4‐35秒2‐11秒6という時計に、手綱を取った北村助手は「最後の1Fが、こんなに出ているとは思わなかった」と目を丸くする。12日の栗東坂路では、軽めのキャンターのつもりが、4F59秒7。予想外に速い時計が出てしまったことがあった。「最近は自分の体感とのズレが出てきた。跳びが良くなり、完歩が大きくなったからでしょうね」と進化を遂げた姿に目を細める。見届けた須貝師も「馬場が悪かったのでクッション性を考えて芝へ。リラックスして走っていたと思う。動きとしては文句なし」と合格点を与えた。
着実に上昇カーブを描いている。単勝1・1倍の1番人気に推された阪神大賞典は、得意の大まくりを繰り出して圧勝。休み明けで八分の仕上がりながら、力の違いをまざまざと見せつけた。「負けられないという緊張感があったが、ホッとした」と師は振り返る。青写真通り、叩き2戦目で迎える大本番。宝塚記念(6月23日・阪神)ではオルフェーヴル、ジェンティルドンナとの決戦も控えるだけに、ここもきっちりと結果を出したいところだ。「天皇賞は重みのあるタイトル。どうしても獲りたい」と鼻息荒く意欲をみせた。
時として波乱を呼ぶ淀の長丁場。昨年も1番人気のオルフェーヴルが11着と惨敗し、14番人気のビートブラックが戴冠した。「レースのアヤで、逃げ馬が残ることもあるかもしれないけど、馬場やコースに左右されないのは強み。そのあたりはゴールドシップと内田君の2者に託したい」。先行馬の“出し抜け”も織り込み済み。スタミナ抜群の芦毛の怪物が、盤石の走りでファンの声援に応える。