【天皇賞】フォゲッタブル母にV捧げる
「天皇賞(春)・G1」(28日、京都)
悲願のG1タイトルを、亡き母にささげたい‐。名牝エアグルーヴを母に持つフォゲッタブルが、伝統の一戦で輝きを放つ。菊花賞2着、長距離重賞2勝の実績があり、豊富なスタミナが最大の武器。持ち味をフルに発揮して、良血を開花させる。なお、枠順が25日に確定。馬券は26日に一部ウインズで前々日発売される。
ここで結果を出せたとすれば、それはもうドラマだろう。エアグルーヴが06年、繁殖牝馬として7番目に生を授けたのがフォゲッタブル。G1・2勝を挙げた偉大な母は23日に急死したばかりだが、名牝の血は脈々と受け継がれている。
伝統の一戦に向け、調整は万全だ。最終追い切り翌日の木曜は、厩舎周りの引き運動をじっくりとこなした。「コズミもなく順調。以前は人間に反抗するような面もあったが、今は矯正できている」と池江師は仕上がりに目を細める。09年菊花賞2着、同年ステイヤーズS、10年ダイヤモンドSの覇者。マラソンレースなら見せ場はつくれるはずだ。「3年前(10年天皇賞・春)に1番人気だった馬。“忘れてもらっちゃ困る”」と、馬名とかけながら意気込みをのぞかせた。
「エアグルーヴはきれいな馬でした。考えられないローテでオークスを勝ち、うれしかったのを覚えています。すごいと思っていた馬が、その通り結果を出せたので。その子どもでG1に出られるのは光栄」と指揮官は思いを巡らせた。初コンビを組む和田も力が入る。「具合はいいし、集中力を切らさないように走らせたい。あとは、お母さんが後押しをしてくれたら…」。くしくも引き当てた(6)枠(12)番は、母が97年天皇賞・秋を制した枠番と全く同じ。天から吹く柔らかな風が、その背をそっと押してくれるに違いない。