【NHKマイルC】ヒーロー“勝つ春”

 「NHKマイルC・G1」(5日、東京)

 目下3連勝と勢いに乗るインパルスヒーローが1日、美浦坂路をさっそうと駆け上がった。4F51秒1‐12秒4。ここまで予定通りの調整過程に、見守った国枝師、騎乗した田中勝ともに笑顔を見せた。現在、春のG1・3連勝中の関東勢。今週も!の意気込みは各陣営から伝わるが、その中の筆頭格が文句なしの出撃態勢を整えた。なお枠順は3日に決定し、4日に前日発売が行われる。

 万全の出来だ。インパルスヒーローが軽快なスピードを披露して、一気に3歳マイル王へ加速した。

 未明まで降り続いた雨も上がった午前6時過ぎの美浦坂路。先週に続き僚馬レッドブルピサ(4歳500万下)との併せ馬に臨んだ。主戦の田中勝が手綱を取り、これを目標にスタート。終始、楽な手応えから残り200メートル過ぎであっさりとらえると、最後は1馬身の差をつけた。4F51秒1‐37秒4‐12秒4。「前の馬が51秒ぐらいで引っ張るから、それにくっついて、しまいだけサーッと、という指示。馬なりだけど、やればいくらでも動きそうな手応えだったよ」と田中勝は感触の良さを伝えた。

 デビュー戦からコンビを組み、その信頼関係は一戦ごとに厚みを増してきている。「最初から素直だったし、コントロールしやすい馬。うーん、特にそれ以上はなかったけど、一度使ったら動きが軽くなってきた。これはちょっといい感じになるかなと思った」。

 デビュー戦こそ2着に敗れたが、その後、3連勝。重賞初挑戦となった前走のファルコンSでも、危なげのないレースぶりで初のタイトルをゲットした。「何の心配もなかったので落ち着いて乗れた。馬もそれに応えてくれて、4角もスムーズに回れた。あとは直線で伸びてくれれば勝てるし、駄目なら駄目って感じで…」。独特の言い回しで、自身2年2カ月ぶりの重賞Vを振り返った。

 “カッチー”の愛称で親しまれ、その明るいキャラクターは周囲を和ませる。42歳になった今も、それは変わらない。07年の皐月賞(ヴィクトリー)以来、G1タイトルから遠ざかっている。「せっかくのチャンス。今、関東馬も勢いに乗っているし、前走内容でさらに希望が出てきた。この馬もあやかりたいね」とそっとほほ笑む。

 4月24日の美浦坂路では、自己ベストとなる4F49秒5をマーク。最終追い切りも順調にこなし、状態面に不安はない。「とにかく乗りやすい馬。府中のマイルも気にしてない。リズム良く、あの馬の競馬を崩さないように乗るだけ」と6年ぶりのG1制覇へ意気盛ん。

 風は東に吹いている。桜花賞(アユサン)、皐月賞(ロゴタイプ)、天皇賞・春(フェノーメノ)と、関東勢は春のG1・3連勝中。府中の杜に“カッチー・スマイル”がはじけるか。

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