【ダービー】ベストプレイ距離の壁破る

 「日本ダービー・G1」(26日、東京)

 巳年生まれの“年男コンビ”が80回記念を制するか。ナリタブライアンでダービーを含め3冠を制した南井師が、トレーナーとして初めて競馬の祭典に、管理馬タマモベストプレイを送り込む。距離が懸念された皐月賞でも0秒5差の5着に健闘。G1・7勝を挙げたテイエムオペラオーの主戦を務めた和田もダービーで3着に敗れたあの時の悔しさを、この一戦にぶつける。

 母・ホットプレイが送り出した最高傑作が、距離の壁を乗り越え、世代の頂点を狙う。同じフジキセキを父に持つ全兄姉は重賞2勝のタマモホットプレイを筆頭に5頭全てがオープン馬。タマモベストプレイもきさらぎ賞を制し、皐月賞でも5着に健闘した。だが、下馬評は低い。なぜなら、全兄姉の勝ち鞍が1800メートルまでで、大半がスプリンターだからだ。

 南井師も「折り合いはつくので、距離は持ちそうだけど、兄姉が…」と、皐月賞前は半信半疑だった。それが追い込んで0秒5差の5着と好走。「いい意味で、こっちの期待を裏切ってくれたよ」と相好を崩した。

 血統的にNHKマイルCにも挑戦するという選択肢もあったが、全姉チャームポットに、全兄タマモトッププレイの背中も知る和田は「ダービーに出るなら、使わなくて正解。この兄姉は、精神的に追い込むと良くないから」と解説し、「奥が深い馬。遊んでて緩さもあって、まだまだ子ども。もっと良くなってきます」と、相当な期待を抱いている。

 「この血統でダービーに出られるのは、本当にうれしい」と語る南井師。ジョッキーとしてナリタブライアンでダービーを勝っているが、調教師として、厩舎ゆかりの血筋でダービー初挑戦というのは感慨深いだろう。

 もちろん参戦するだけではない。「ズブくなってるので、距離は延びた方がいい」と逆転を狙う和田は「1週前追いでもリラックスして走ってし、いい雰囲気で行けるのが何より」と、野心を隠そうとしない。

 くしくも調教師、騎手ともに巳年生まれ。節目のダービーで“年男コンビ”が血統の常識を覆して栄冠をつかむか。

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