【ダービー】ロゴタイプ春2冠へV調整

 「日本ダービー・G1」(26日、東京)

 史上23頭目となる春の2冠制覇に向けて態勢は整った。皐月賞馬ロゴタイプが22日、美浦Wで最終追い切り。単走、馬なりと軽めの内容に終始したが、1冠目も同様の調整でレコードVを決めており、陣営に不安は全く感じられない。今回は鞍上がミルコ・デムーロから弟のクリスチャンへ。クラシックの兄弟制覇は菊花賞で武豊(88年スーパークリーク)‐幸四郎(06年ソングオブウインド)が達成しているが、勝てばダービーでは初の快挙となる。

 競馬の祭典だからといって大きな変化は求めない。皐月賞馬ロゴタイプは、前走と同様に美浦Wで単走、馬なりのまま最終追い切りを完了した。5F69秒7‐40秒1‐12秒9。皐月賞時の同72秒5‐42秒8‐13秒6よりは速い時計だが、大一番を前にしては物足りなさを感じるのは事実。しかし、これこそが“ロゴタイプ流”であり“田中剛流”でもある。指揮官は「きょうは最後の味付け程度。いつもと変わらずいいフットワークだった」と動きを満足げに振り返り、うなずいた。

 まだ開業4年目の新米トレーナーだけに、調整法は手探り中。自身も「分からないことが多いから」と謙遜するが、ジョッキー時代には平地、障害馬を問わず、特に癖のある馬の矯正を任せられることが多かっただけに、自分なりに仕上げのポイントはつかんでいる。「レース直前に強い追い切りをした方がいい馬はいるが、駄目になる馬もいる」。ロゴタイプは後者。軽い調教を不安視する声を吹き飛ばして、皐月賞をレコードで制したレースぶりが全てを物語る。「この馬はレース自体が調教の一環となっているところがある。皐月賞が今回に向けてのいいトレーニングになった」と説明した。

 1週前にしっかりと併せ馬で負荷をかけ、直前は単走で軽めに‐。この調整法に決めたきっかけの一つに自身のある経験がある。マラソン大会に出場した時、前日にトレーニングをし過ぎて、本番で力を出せなかった。「人間と馬では違うものの、あの時に基礎さえしっかりしていれば、直前にやらなくても大丈夫だと思った」と振り返る。速い追い切りも必要だが、基礎を構築する普段のトレーニングがより重要と実感。「普段からキャンターでしっかり距離を乗るようにしている」と胸を張る。直前の追い切りが仕上げの全てではない。大一番に向けて態勢が整った自信があるからこそ、自然と笑みがこぼれるのだろう。

 今回は短期免許期間の関係上、主戦のミルコ・デムーロから弟のクリスチャンに乗り代わる。「何も心配はしていない」と指揮官が言えば、兄からバトンを受け継ぎ、前々走のスプリングS制覇時以来の騎乗となるC・デムーロも「折り合いがつく点は、距離が延長するうえで大きなアドバンテージだと思う。2400メートルにも対応できる」と期待する。兄は03年ネオユニヴァースでダービーを制しており、勝てば史上初となるダービー兄弟制覇に。史上23頭目となる春2冠獲得もかかる。2つの偉業達成へ向けて、陣営は自信を持って大一番に向かう。

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